アリゾナ州知事選候補、共和党の現職対民主党の大学准教授

(米国)

ロサンゼルス発

2018年09月10日

米国アリゾナ州の州知事予備選挙は8月28日に投票を締め切り、共和党からは現職のダグ・デュシー知事が、民主党からはアリゾナ州立大学准教授のデビッド・ガルシア氏が選出された。両候補は、11月6日の本選挙に向けて選挙戦を続けていく。

保守派のデュシー知事は、「小さな州政府」、国境の壁建設および警備強化、不法移民取り締まり強化、雇用創出など、トランプ政権と一致する政策が多い。経済政策では、雇用創出のための企業投資誘致および減税、税制の簡素化や各種規制緩和を提唱する。

一方、ヒスパニック系のガルシア氏は、所得格差の解消、国境の壁建設への反対、デュシー知事が派遣した国境警備隊の撤退などを訴え、経済政策では持続可能な農業、航空宇宙、サイバーセキュリティー、太陽光発電などの産業におけるビジネス機会の創出、州政府調達におけるアリゾナ地場企業の優遇措置などを提唱している。

選挙分析サイト「クックポリティカルレポート(CPR)」(8月30日)によれば、デュシー知事の当選がほぼ確実となっているが、ガルシア氏は同州で注目される教育問題で巻き返しを図る。同州はリーマン・ショック以降全米で最も教育予算を削減しており、2018年4月には公立学校教員が給与水準への不満などから大規模なストライキを起こした。デュシー知事は、今後3年間で教員給与の約20%増を主な内容とする政策を発表し事態を収束させたが、6月末のNBCの世論調査では「現職以外の候補が次期州知事にふさわしい」と回答した割合が59%に上った。

ガルシア氏は、教員給与の引き上げや教育施設の充実の財源を、年収25万ドル以上の高所得者に対する所得税の引き上げによって確保するよう主張している。一方のデュシー知事は、教育予算を経済成長に伴う税収増で賄うと主張する。

なお、同州選出のジョン・マケイン連邦上院議員(共和党)の死去に伴い、デュシー知事にはマケイン氏の後継議員を指名するという別の注目も集まった(注)。また、マケイン氏と対立していたとされるトランプ大統領は、予備選中の段階から、デュシー知事支持を表明していた。

(注)デュシー知事は9月4日、マケイン氏の後任となる上院議員に共和党のジョン・カイル元上院議員を指名した。

(北條隆)

(米国)

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