重慶とシンガポール、海陸複合新ルートで輸送期間大幅短縮

(シンガポール、中国)

シンガポール発

2018年08月24日

シンガポールと中国が2国間政府プロジェクトとして開拓した、重慶市とシンガポールを結ぶ新たな海陸複合輸送ルート「南向通道(CCI-STC)」の運用が本格化している。新ルート開拓で、輸送期間が大幅に短縮され、重慶市とシンガポールをはじめ東南アジア間の貨物量拡大が期待されている。

新海陸複合輸送ルート、最大で2週間短縮

中国とシンガポールは2015年11月、3つ目の政府間プロジェクトの実施場所として重慶市を選定。南向通道の開拓は両国が推進するプロジェクトの1つ(添付資料参照)。南向通道は、重慶市から広西チワン族自治区の欽州港まで鉄道で運び、港からシンガポールまで海上で運ぶというもの。同ルートで輸送にかかる期間は約1週間。従来の重慶から上海まで長江を水上輸送し、シンガポールまで海上輸送するルートの場合、輸送期間は約3週間かかった。また、重慶から深センまで鉄道輸送して、シンガポールまで海上輸送する場合、約2週間かかる。新ルートでは輸送期間が1~2週間短縮されることになる。

経由港のコンテナ取扱量、拡大

南向通道の経由港は、北部湾・PSA国際コンテナターミナル(BPCT)が広西欽州保税港区内で運営するターミナルだ。BPCTは、シンガポールの港湾管理会社PSA、広西北部湾国際港務集団とシンガポール海運会社パシフィック・インターナショナル・ラインズ(PIL)が2015年9月に設立した合弁会社だ。

2017年12月から、重慶市と欽州を結ぶ週3便の鉄道貨物線が定期運行を開始した。エンタープライズ・シンガポール(Enterprise Singapore)によると、重慶と欽州間の鉄道輸送量は2018年7月に週平均200TEU(20フィートコンテナ換算)となり、2017年9月の50TEUと比べて急拡大した。新しい南向通道の開拓で今後、重慶や近接する成都で製造される自動車部品や電子部品などの東南アジアへの輸送や、東南アジアの海産品の中国への輸出拡大が期待されている。

南向通道については、チャン・チュンシン貿易産業相が8月27~28日に、シンガポールで開催されるフォーラム「フューチャー・チャイナ・グローバル・フォーラム(シンガポール・ビジネス連盟、ビジネス・チャイナ共同開催)」で、最新状況を紹介する予定だ。

(本田智津絵)

(シンガポール、中国)

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