政府が新規則、LNGなど天然ガスの輸出認可を短縮化

(米国)

シカゴ発

2018年08月07日

米国エネルギー省は7月25日、液化天然ガス(LNG)を含む天然ガスの輸出認可の迅速化を目的とする新規則を最終決定し、官報に掲載した。同規則は、カリブ海地域や中南米などに対する中小規模のLNG輸出の促進を目指したものとされている。8月24日に発効する。

天然ガス増産によるLNG輸出拡大が進行中

シェールガスの増産により、米国は現在、世界1位の天然ガス生産国となっている。天然ガス輸出も2017年は日量87億立方フィート(LNG換算で年間6,100万トン相当)と、2015年の1.8倍の水準に増加した。2016年以降はLNGでの輸出も本格化しており、2017年には約1,400万トンのLNGが米国から輸出された。

輸出先も多様化しており、韓国、中国、日本などのアジア向け輸出が合計で600万トンを超えたほか、メキシコやチリなどの米州向けや、欧州、中東向けなど、輸出先は28カ国に及んだ。LNG輸出基地の整備も進んでおり、今後もLNG輸出の増加が期待できるが、米国と自由貿易協定(FTA)を締結していない国に対するLNG輸出については、FTA締結国向けよりも厳格な審査が課されており、これがLNG輸出拡大の障害となっていると指摘されていた。

LNG年間100万トン相当以下の輸出認可手続きを簡素化

米国では、天然ガスやLNGを輸出するにはエネルギー省から認可を得ることが天然ガス法(Natural Gas Act)によって定められている。FTA非締結国への輸出に関しては、同省が輸出許可申請をパブリックコメントに付し、当該輸出が公共の利益に反さないことを個別審査することが求められている。

今回の新規則は、輸出規模が年間517.5億立方フィート(LNG年間100万トン相当)以下であることを条件に、FTA非締結国への天然ガス輸出申請であっても、個別審査なしでこれを認める方向に認可手続きを変更するもの。ただし、国家環境政策法(National Environmental Policy Act)により、環境影響評価書の提出が求められるケースにおいては、従来と同じく認可プロセスが必要となる。

(上村真)

(米国)

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