エクアドル、ベネズエラ主導の左派同盟ALBAから脱退

(エクアドル、ベネズエラ)

米州課

2018年08月27日

エクアドル外務省は8月23日付官報454号で、米州ボリバル同盟(ALBA)からの脱退を表明した。ALBAも24日にエクアドルの脱退を承認する発表を行った。ALBAは2004年にキューバのフィデル・カストロ国家評議会議長とベネズエラのウーゴ・チャベス大統領(いずれも当時)の主導で結成された反米左派同盟(8カ国)で、現在はベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領が実質的な先導役となっている。エクアドルは2009年から加盟していた。

エクアドルのALBA脱退の表明は、米国やEUと対立関係を深めているベネズエラとの決別といえる。ベネズエラの経済危機を受け、同国からの移民は近隣の南米諸国を目指しており、ブラジル、コロンビア、ペルーとともにエクアドルへの移民流入が後を絶たない。この状況を受け、エクアドル外務省は23日、翌日からベネズエラ国籍移民に対して国境でのパスポートの提示義務を発表した(実際は45日間施行日が延期された)。

エクアドルはラファエル・コレア前大統領(2007年~2017年4月)が中南米の左派政権国へ歩み寄り、ALBAにも加盟をして、貿易や社会開発面での互助協力を進めた。しかし、2017年5月に大統領に就任したレニン・モレノ氏は、コレア氏の後継者という立場だったが、政策は一転させて左派色を薄めた。特に、エクアドルは輸出額の7割を原油に頼る構造にあり、2014年からの原油価格下落によって、ベネズエラと同様、国家歳入が大幅に減少していた。モレノ大統領はコモディティー(市況商品)輸出に頼る経済体質からの脱却のために、非石油分野の輸出拡大と対内直接投資の誘致に力を入れている。特に2018年3月、モレノ大統領が自由貿易の経済圏である太平洋同盟(加盟国はメキシコ、コロンビア、ペルー、チリ)への正式加盟の意向を表明したことは、国際社会にエクアドルの経済政策の転換を印象付けた。また2018年6月には、米国のマイク・ペンス副大統領がエクアドルを訪問し、モレノ大統領と両国間の貿易投資の促進を約束した。

(志賀大祐)

(エクアドル、ベネズエラ)

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