2018年の経済・金融政策は変更せず、首相が明言

(ベトナム)

ハノイ発

2018年08月17日

ベトナム政府ウエブサイトによると、グエン・スアン・フック首相は7月31日~8月1日に開催した7月定例閣議において、2018年の経済・金融政策を変更しないと明言した。一方で、米中貿易摩擦や人民元安といったリスク要因がベトナム経済に影響を及ぼす可能性があると、懸念を表明した。

上半期の好調な経済が自信に

フック首相の発言は、2018年上半期の経済が好調だったことによる。特に2018年の経済目標の中で、(1)実質GDP成長率の堅調な伸び、(2)インフレ率の安定、(3)失業率の低下、(4)輸出額の増加が良好だったと評価している(表参照)。中でも、上半期の実質GDP成長率は2011年以降最高を記録した。ベトナム経済は2017年第2四半期から好転の兆しを見せており、内外の経済専門家からも高成長の始まりとして評価されていると、フック首相は自信をのぞかせた。

表 2018年目標値と上半期(1~6月)実績値

対ドル為替レートの変動を前年末比2%以内に

一方でフック首相は、今後のベトナム経済の不安定要因として、(1)米中貿易摩擦、(2)米国の新たな追加関税措置、(3)人民元安の3点を挙げ、これらも踏まえ、世界経済の大きな影響がない限り、ドル・ドン為替レートを2017年末比で2%以内の変動幅に抑える必要があると強調した。2017年末の国家銀行の中心レートは1ドル=2万2,425ドンだったのに対して、2018年8月7日現在で2万2,676ドンと1.1%のドン安となっており、まだ余裕がある状況だ。

通常、ドル・ドン為替レートは、貿易赤字、米国の金利上昇、人民元安などでドン安になる傾向がある。米中貿易摩擦はさらなる人民元安を招く可能性があり、ドン安を加速させる要因となり得る。また、米国が貿易黒字国に対して追加関税措置を取ることも考えられるとして、政府は米国の保護主義政策を中心とした世界経済の動向を注視している。

(佐藤進)

(ベトナム)

ビジネス短信 43eb3f646d21693f