ファラベラも参入、伸びしろ大きいeコマース市場

(メキシコ、チリ)

メキシコ発

2018年08月09日

チリの小売り大手ファラベラ(Falabella)が8月1日、中南米地域で事業展開するメキシコ資本のeコマース大手リニオ(Linio)の株式100%を1億3,800万ドルで買収したと発表した。ファラベラは大きな伸びしろが見込まれるメキシコのeコマース市場で、自社店舗商品のオンライン販売を強化するとともに、実店舗の展開で培った物流網、顧客網、調達網、顧客に関する知識、決済手段などをリニオのビジネスに活用するとしている(「ファラベラ」プレスリリース8月1日付)。

リニオはドイツのロケット・インターネットが2012年に設立した企業で、メキシコ、パナマ、ベネズエラ、コロンビア、エクアドル、ペルー、チリ、アルゼンチンの8カ国でサービスを展開する。2016年にメキシコのベンチャーキャピタルファンドであるリブ・カピタル(LIV Capital)が株式の大部分をロケットから買収し、メキシコ資本となっていた。

メキシコ・オンライン販売協会(AMVO)によると、メキシコのeコマース市場は2012~2016年の5年間で年平均43.3%拡大し、2016年には3,298億5,000万ペソ(約1兆9,791億円、1ペソ=約6.0円)に達した。それでも国内小売販売総額の2%にすぎず、伸びしろは大きい。ユーロモニター・インターナショナルによると、メキシコのeコマース市場における売上高1位はアルゼンチンのメルカドリブレで、2016年の販売額は約4億3,400万ドル、2位がリニオで2億6,500万ドル、3位がアマゾンで2億5,300万ドル。そのほか、小売り大手の米国ウォルマートや地場のリベルプール(百貨店)などが積極的にオンライン販売を行っている。

(中畑貴雄)

(メキシコ、チリ)

ビジネス短信 1e76ea164a1dc19d