「WeChatペイ」「アリペイ」など第三者決済への規制強化

(中国)

広州発

2018年07月09日

中国人民銀行は6月29日、「決済機構顧客準備預金全額集中預け入れに関する通知」(銀弁発[2018]114号)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(以下、通知)を発表した。「WeChatペイ」「アリペイ」などの第三者決済機構に対して、2019年1月14日までに、ユーザーによるアカウントへの入金額の100%同額を、中国人民銀行へ準備預金として預け入れることを義務付ける。

これまでは、2017年1月の「決済機構顧客準備預金集中預け入れ・管理に関する通知」(銀弁発〔2017〕10号)により、「ネットワーク支払い業務」については、入金額の12~20%が準備預金として義務付けられていた。通知では2018年7月9日から毎月預け入れ比率を高め、2019年1月には100%とする(表参照)。

中国人民銀行は準備預金義務付けの理由として、第三者決済機構間によるユーザー預入金の流用や、高リスク商品への投資の防止などを挙げた。

表 預け入れ比率のタイムスケジュール

銀行との直接決済が禁止に

また第三者決済機構は、2017年8月の「非銀行決済機構ネットワーク決済業務の直接連結モデルから網聯プラットフォーム処理への転換に関する通知」(銀支付〔2017〕209号)に基づき、2018年6月30日から「網聯」(注)と呼ばれるオンライン決算処理プラットフォームの利用が義務付けられる。第三者決済機構は直接、銀行と取引を行うことが多く、当局による管理が難しいため、マネーロンダリング、違法な海外送金などの犯罪行為への利用や、金融政策への影響が指摘されていた。

今回の措置について、WeChatペイやアリペイなど大手決済機構は既に対応準備ができており、影響は限定的と報じられている(「信息時報」7月1日)。

(注)中国人民銀行が設立を認可した「網聯清算」による、非銀行決済機構のネットワーク支払い清算プラットフォーム。

(河野円洋)

(中国)

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