ドイツ産業連盟が「原材料会議」を開催、政府に提言

(ドイツ)

ベルリン発

2018年07月09日

ドイツ産業連盟(BDI)は7月3日、ベルリンで資源政策について議論する「原材料会議」を開催し、政府に対して鉱物資源の確保に関する戦略の見直しを求めた。鉱物資源を輸入に頼るドイツがイノベーションや先端技術を生み出していくには、コバルト、リチウム、ニッケルなどの原材料の安定確保が欠かせない。

ディーター・ケンプ会長は、レアメタルなど新技術に必要な鉱物資源への需要が高まっている状況にあっては、鉱物資源戦略を速やかに見直す必要性があると訴え、政府に対して5項目からなる計画案を提言した。

  1. 政府内の資源政策管轄の明確化
  2. 国内での資源確保の強化
  3. 国際的な取り組み・協力関係の強化
  4. 循環型経済の強化
  5. イノベーションの促進

ケンプ会長は、経済危機の発生後、鉱物資源の価格が下落したことで原材料確保の必要性も低下したが、工業国のドイツにとって今、鉱物資源の入手は主要課題の1つだ、と主張した。特に、電気自動車、デジタル化、インダストリー4.0やエネルギーシフトにより需要が拡大していくという。

ドイツでは、鉱物資源の多くを輸入に頼らざるを得ず、ドイツやEUの社会的・環境的基準を満たさない資源国への依存度も上昇している状況にある。ケンプ会長は、ドイツの産業界は資源確保においても高い社会的・環境的基準や人権に配慮し、持続可能で責任のある資源確保を目指す、と強調する。他方で、外国への依存度を低減させるため、資源の循環型経済の構築を優先するとともに、試験プロジェクトを通じて海底資源や宇宙での資源採掘などの支援を政府に対して要求した。

(油井原詩菜子)

(ドイツ)

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