トラック業者ストの影響で5月の鉱工業生産が大幅減

(ブラジル)

サンパウロ発

2018年07月10日

ブラジル地理統計院(IBGE)は7月4日、5月の鉱工業生産統計を発表した。それによれば、5月下旬に発生したトラック輸送業者によるストライキの影響を受け、2018年5月の鉱工業生産指数は前月比10.9%減(季節調整済み)と、米国発の金融危機にみまわれた2008年の12月(前月比11.2%減)以来の大幅な減少となった。前年同月比では6.6%減となる。

業種別に前月比をみると、自動車が29.8%減と最大の減少幅を示し、以下大きい順に飲料(18.1%減)、食品(17.1%減)、衣料品・アクセサリー(15.4%減)と続く(表参照)。26業種中24業種が前月より減少した。前月比で増加したのはコークス・石油派生品・バイオ燃料(6.3%増)、採掘業(2.3%増)の2業種にとどまり、いずれも生産活動においてトラック輸送への依存度が低いことが特徴といえる。IBGEのアンドレ・マセド氏は「原材料の供給、製品の出荷の両面でストライキが生産活動を分断した」としている(「フォーリャ・デ・サンパウロ」紙7月5日)。

表 2018年5月の業種別鉱工業生産指数の前月比(季節調整済み)と前年同月比

トラックのストライキが解消した後も、企業の生産活動や物流への影響はみられる。例えば、当地の日系ロジスティクス会社によれば、6月以降、サンパウロのグアルーリョス国際空港では輸出貨物の急増により荷受けオペレーションに支障が生じているという(7月3日確認時点)。これはストライキの影響で企業の生産や出荷に遅れが生じ、各社がリードタイムの短い航空貨物を増やしたためとされる。代替となるサンパウロ州内陸のカンピーナス市近郊のビラコポス空港でも同様の問題が生じているという。この混乱には、空港での輸出貨物増加と同時に、2017年からみられた税関ストライキも一因となっている。こちらに関しては7月4日に、月末まで一時的にストライキ解除が決まったため、混乱の緩和が期待されるが、当地の物流事情にはしばらく注意が必要だ。

(二宮康史)

(ブラジル)

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