日EU・EPA署名に欧州産業界から支持表明相次ぐ

(EU、日本)

ブリュッセル発

2018年07月18日

7月17日に東京で署名された日EU経済連携協定(EPA)(2018年7月18日記事参照)について、欧州の主要産業団体から支持、早期発効を求める声が相次いでいる。多くの産業団体は世界的な保護主義台頭に危機感を強めており、このタイミングでのEPA署名に戦略的な意義を見いだしている。

幅広い欧州の産業団体が期待感表明

欧州の経団連に相当するビジネスヨーロッパ(欧州産業連盟)は7月17日、「EPAは国際貿易の道標」と題する声明を発表。ピエール・ガタズ会長は、ルールに基づく貿易への圧力が強まる中、世界のGDPの4分の1以上を占める日・EUが野心的なEPAに合意したことの意義を強調し、EPAの迅速な(双方議会の)批准を求めた。

欧州のエレクトロニクス産業を代表するデジタルヨーロッパ(欧州情報通信民生電子技術産業協会)も「迅速な批准手続きを心待ちにしている」と声明で期待感をにじませ、セシリア・ボネフェルト=ダール事務総長は「長期的にみると、EUの輸出を34%増加、GDPを0.76%拡大させる効果を想定している」とコメントした。同協会は研究開発や国際標準化、規制協力などでの日EUの関係強化を通じて、デジタル技術の協力推進が実現できるとの認識も示した。

また、欧州最大の農業生産者団体連合組織である欧州農業組織委員会・欧州農業共同組合委員会(COPA-COGECA)と、欧州食品・飲料産業を代表するフード・ドリンク・ヨーロッパ、欧州の農産品・食品産業を代表する欧州農産品貿易連絡委員会(CELCAA)の3団体は連名でEPA署名歓迎の声明を出し、「EPAは貿易自由化、互恵関係実現など価値観を共有する重要な貿易相手国との関係強化のための合意」との認識を示し、欧州の農産品や食品、飲料の、成長活力に溢れるアジア大洋州市場での競争力強化に貢献する重要性もあると指摘した。

このほか、欧州のサービス産業を代表する欧州サービス・フォーラム(ESF)のノエル・クレアーヌ会長も「保護主義が台頭する今、EU・日本の通商協定締結は歓迎すべきこと」とコメント。EU・日本の行政当局間による規制協力などに期待感を表明した。

(前田篤穂)

(EU、日本)

ビジネス短信 a658fa7cc09d5a57