シェア自転車のモバイク、無条件保証金免除の都市拡大

(中国)

広州発

2018年07月05日

中国シェア自転車大手の摩拝単車(モバイク)は6月25日、福建省福州市、広東省仏山市、珠海市など19都市のユーザーに対して、利用登録時に必要な保証金を無条件で免除すると発表した。これまでは299元(約5,080円、1元=約17円)の保証金が必要だった。既に保証金を支払っているユーザーはモバイクアプリなどから申請し、2~7日程度で返金を受けることができる。同業他社も保証金免除を行っているが、アリババの提供する信用評価制度の利用を義務付けるなど、一定の条件が課されていることが多い。

対象となる19都市は上記の3市のほか、天津市、湖北省武漢市、江蘇省南京市、山東省済南市、河南省鄭州市、湖南省長沙市、遼寧省瀋陽市、河北省石家庄市、江西省南昌市、広西チワン族自治区南寧市、寧夏回族自治区銀川市、甘粛省蘭州市、四川省徳陽市、浙江省寧波市、金華市、温州市と報じられている(「瀋陽網」6月25日)。

倒産による返金不能などが社会問題に

シェア自転車の保証金については、退会時の払い戻しの遅れや運営会社の倒産に伴う返金不能などが多発し社会問題化している。中国中央電視台(CCTV)の「3.15晩会」(注)でも取り上げられ、全国人民代表大会(国会に相当)では関連規定の整備が審議されるなど、中央政府も問題視している。

こうした中、5月以降、モバイクは中国各地で保証金免除を進めており、既に広東省東莞市、福建省竜岩市など計100以上の都市が対象になっている。保証金免除の対象は、同社がシェア自転車を運用する都市の半数を超えるという。

モバイクの保証金免除は、テンセントが出資する大手ネット企業の美団による買収で資金に余裕ができたことが要因との見方もある。なお、モバイクは世界200カ国で2億3,200万人の登録ユーザー、620万台の自転車を投入しているが、業績は2015年1月の設立以来赤字が続いているとされる(「Donews」6月25日)。

(注)3月15日の世界消費者権利デーに合わせて毎年放送される、消費者の権利保護に関する特別番組。中国内で大きな影響力を持つ。

(河野円洋)

(中国)

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