プーチン大統領、BRICS首脳会議で緊密な経済協力を呼び掛け

(ロシア、南アフリカ共和国)

欧州ロシアCIS課

2018年07月27日

プーチン大統領は7月26日、南アフリカ共和国のヨハネスブルクで開催された第10回BRICS首脳会議で演説し、デジタル経済化、金融、エネルギーなどの分野でBRICSの枠組みを通じた緊密な協力を呼び掛けた。併せて個別の首脳会談も行われた。

ロシア大統領府によると、首脳会議でプーチン大統領はBRICSの枠組みでの成果を強調し、ロシアの経済政策に言及。優先的経済政策の1つは「デジタル化」で、これにより2024年までに労働生産性を30%引き上げるとともに、ロシアのGDPが10%以上増加するとの見込みを述べ、デジタル化推進に向け各国との緊密な協力を進めたいとした。

金融分野では、2014年に設立された新開発銀行(BRICS5カ国が出資・運営する金融機関)の業務を高く評価。同銀行が進める21件の融資案件のうち5件がロシアでの案件で金額は10億ドルを超え、新開発銀行の起債業務や外貨準備基金制度はロシアの金融システムに重要な役割を果たしていると述べた。また同銀行の出先機関をブラジルに開設する交渉が進められていることを明らかにするとともに、将来的にロシアにも出先機関を開設する可能性にも言及した。

エネルギー分野では、ロシアが提唱する国際的なエネルギー研究機関創設への支持に感謝の意を述べた。現在世界のエネルギー研究(分析、需要予測など)は主として欧米の機関が担っており、同等の機能を持つ研究機関を立ち上げることが目的。このほか、貿易振興に向けた越境電子商取引(EC)、中小企業政策、非関税障壁低減に向けた取り組みなどで各国との協力を歓迎した。また、2025年に開催予定の国際博覧会(エクスポ)にロシアのエカテリンブルクが立候補していることから、誘致への協力を呼び掛けた。

個別の首脳会議も行われ、インドのモディ首相との会談では、2018年10月にプーチン大統領がインドを訪問する意向を明らかにした。メンバー国である中国の習近平国家主席、南アのラマポーザ大統領のほか、トルコのエルドアン大統領、アルゼンチンのマクリ大統領、アンゴラのローレンス大統領、ザンビアのルング大統領とも個別会談を行った。

(高橋淳)

(ロシア、南アフリカ共和国)

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