EU、2030年のエネルギー効率化目標で非公式合意

(EU)

ブリュッセル発

2018年07月02日

EU理事会(閣僚理事会)と欧州議会は6月19日に「エネルギー効率化指令」改正案、6月20日に「EU域内のエネルギー共同体のガバナンスに関する規則」案の修正について、「非公式合意」に達した。非公式合意とは、欧州議会と理事会の法案採択に先立つ、立法プロセス円滑化のための、双方の代表者による修正協議における合意のことで、法案の成立には、両機関でのさらなる審議と正式な採択が必要となる。

2030年のエネルギー効率化目標を32.5%に設定

欧州委員会は2016年11月に発表した当初の「エネルギー効率化指令」改正案(2017年1月4日記事参照)で、2030年までに現状維持シナリオと比較して30%のエネルギー効率化を実現することを目標として提案していた。欧州議会は審議中、35%への目標引き上げを要求したが、結局、理事会と32.5%で合意した。加えて、2023年に、経済・技術の進展に応じて目標値の引き上げを検討することが盛り込まれた。

「EU域内のエネルギー共同体のガバナンスに関する規則」案では、各加盟国が2021~2030年を手始めに10年ごとの「加盟国エネルギー・気候統合計画(integrated national energy and climate plan)」を作成することで合意。計画には、「ファイブ・ディメンション(five dimensions)」として(1)エネルギー効率化だけでなく、(2)温室効果ガス排出削減(2030年までに1990年比で40%削減)や再生可能エネルギー(注)、(3)エネルギー安全保障、(4)域内エネルギー市場(近隣加盟国との系統接続など)、(5)研究開発、に関する加盟国の目標や政策が記載され、作成段階において欧州委がEUの2030年の気候・エネルギー目標が達成されるように評価と勧告を行う。従来、ばらばらだった気候・エネルギー関連政策の計画や報告を統合することで、合理化を目指すものだ。

(注)「再生可能エネルギー指令」改正案について、2030年に最終エネルギーに占める再生可能エネルギーの割合を32%とし、2023年に目標の引き上げを検討する修正で、理事会と議会の非公式合意が6月14日に成立した。

(村岡有)

(EU)

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