習国家主席が訪問、全面的戦略パートナーシップ推進を確認

(セネガル、中国)

アビジャン発

2018年07月30日

中国の習近平国家主席は7月21日から2日間、アフリカ歴訪の最初の国となるセネガルを訪問した。マッキー・サル大統領との会談では、経済、貿易、投資など多分野での両国の協力関係の促進と、「全面的戦略パートナーシップ」の推進を通じてアフリカと中国の経済的結び付きを一段と強化すると強調した。

習国家主席は「両国関係は2005年に国交を回復して以来、平等、相互信頼、相互利益に基づく互恵協力で成果を収め、今日では全面的戦略パートナーシップへと飛躍を遂げた」と評価した。

サル大統領は「今回の習国家主席の訪問は歴史的意義があり、両国関係と今後の発展において極めて重要なものだ」と表明。訪問に先立つ記者会見では、全面的戦略パートナーシップの枠組みの中で、中国による「セネガル新興計画」への参加を歓迎し、両国の新たな協力関係の構築に取り組んでいきたいと言明した。中国は、2035年に新興国入りを目指す「セネガル新興計画」に13億5,000万ユーロの融資を行っており、最大のパートナーだ。同大統領は数回にわたって中国を訪問し、G20など多くの国際会議の場で習国家主席と会談してきた。

両首脳は会談後、司法共助、経済・技術協力、インフラ整備、人的資源開発、航空分野など10項目の協力協定に署名した。

報道によると、2017年のセネガルの対中国輸出は1億1,500万ユーロ、対中国輸入は5億5,949億ユーロで、中国は主要貿易パートナーとなっている。中国企業による公共事業の受注増加を反映し、対中国輸入は建設資材が大きな割合を占め、対中国輸出は鉱物資源(チタン鉱、ジルコニウム鉱)と落花生が中心だ。また2005年に国交を回復して以降、中国がセネガル向けに承認した融資額は18億ユーロとなった。

中国は現在、首都ダカールと中部都市トゥーバを結ぶ高速道路や工業団地開発などに着手している。これまでにダカールの競技場、道路、劇場、博物館など、多くのインフラが中国企業によって建設されている。

現地では主要メディアが中国特集を組むなど、習国家主席の訪問を連日大きく報じた。両国の協力関係強化を歓迎する論調が多いが、一部では、中国が巨大経済圏構想「一帯一路」の一環として進める大型インフラ整備計画は、資金援助と引き換えにアフリカ諸国の国益を損なうことになりかねないとの指摘もあった。

(渡辺久美子)

(セネガル、中国)

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