12万香港ドル超の持ち込み、7月16日から申告義務

(香港)

香港発

2018年07月06日

香港政府は7月16日から、香港への入境者および入境貨物のうち、12万香港ドル(約168万円、1香港ドル=約14円)を超える現金などを持ち込む場合に申告を義務付ける(注1)。マネーロンダリングやテロ組織による資金集めなどを防止するための措置だ。

申告の義務付け措置は、「実体貨幣及不記名可転譲票據跨境流動条例(香港法例第629章)」(The Cross-boundary Movement of Physical Currency and Bearer Negotiable Instruments Ordinance, Cap. 629)に基づき実施される。

申告が必要となるのは、香港域内・域外の法定通貨(紙幣・硬貨)、トラベラーズチェックなどの小切手を香港域内に持ち込み、かつ持ち込み金額が12万香港ドルを超える場合。これらを香港入境時に持参する場合は指定の申告書(注2)に必要事項を記入の上、税関申告品がある場合に通過する赤色の税関検査台(Red Channel)を通過し、税関職員に書面で申告する必要がある。また、荷物として持ち込む場合は、税関の電子システム(現金類物品申報系統:Currency and Bearer Negotiable Instruments Declaration System、注3)を通じ事前に申告を行う必要がある。

なお、これらの規定は、香港国際空港でトランジットする旅客(香港に入境しない旅客)には適用されない。

香港ドル以外の通貨を持ち込む場合は、当該通貨の価値が香港ドル換算で限度額(12万香港ドル)を超えているかどうかで判断される。香港ドルへの換算は、香港銀行公会が発表する入境日のレート(注4)に基づき計算される。香港銀行公会のレート発表時間前に入境するか入境日にレートが発表されない場合は、直近のレートに基づき香港ドルに換算される。

限度額を超える現金などを申告せず持ち込んだ場合、初回の違反でかつマネーロンダリングなどの罪状で検挙されたことがなければ、2,000香港ドルの罰金を納付することで法的責任を回避できる。その他の場合は刑事手続きで処理され、最高で50万香港ドルの罰金および2年間の禁固刑が科される。

(注1)申告義務化に関する詳細は香港税関のウェブサイトを参照。

(注2)申告書のフォーマットは以下よりダウンロード可能。

(注3)事前申請に必要な税関の電子システムは以下を参照。

(注4)香港銀行公会が発表する為替レートを参照。

(中井邦尚)

(香港)

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