ブラジル議会が個人情報保護法案を可決

(ブラジル)

サンパウロ発

2018年07月18日

ブラジル議会上院は7月10日、デジタル空間上での個人情報の取り扱いや保護に関する事項、個人情報保護を監督する行政組織の設置などを規定した個人情報保護法案を可決した。本法案は下院では既に5月29日に可決されており、テーメル大統領の承認待ちの状態にある。大統領の承認を受けて官報告示がされれば、その18カ月後に発効することとなる。

同法案では、企業や公的機関がブラジル人の個人情報を収集するに当たり、明示的に本人の同意を得ることや、収集した個人情報に関して当人がアクセスする権利、修正や削除を要請する権利を規定している。また、より高い保護水準を定めた「機微データ」というカテゴリーを設け、人種、民族、思想信条、宗教観、健康状態などに関する情報については、本人の明示的な同意がない限り、商用に用いることを禁じている。SNSなどの事業者がブラジル人の個人情報を国外に転送する場合には、転送先の国が同等レベルの個人情報保護法制を有しているか、事業者が同等レベルの保護を保障する場合にのみ認められるとされている。

他方で、ブラジル人の生命・健康の保護上で必要な場合、その他法令上の要請がある場合など正当な目的がある場合に限り、個人データの転用が認められるなどの例外が規定されている。

また、同法案では、個人情報保護の状況を監督するための新たな行政組織を設置することとしており、法令を順守しない企業に対しては、企業の年間売上高の2%、または5,000万レアル(約14億5,000万円、1レアル=約29円)のいずれか低い方の課徴金や、関連するデータベースの破棄などの罰則が規定されている。

なお、ブラジル政府は、行政支出の拡大につながる新組織の設置には難色を示しており、テーメル大統領が上院を通過した法案をそのままのかたちで承認するか否かが焦点となっている。

(岩瀬恵一)

(ブラジル)

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