大統領選でエルドアン氏再選

(トルコ)

イスタンブール発

2018年06月26日

トルコ高等選挙評議会(YSK)は、6月24日に行われた大統領選挙で、エルドアン大統領が過半数を獲得し、再選したことを暫定発表した。また、同時に行われた総選挙(一院制、定数600)では、公正発展党(AKP)と民族主義者行動党(MHP)の共和同盟が過半数を上回った。

今回の選挙の有権者は5,935万4,840人で、投票率は大統領選挙、総選挙ともに87%を超えた。選挙管理委員会による公式開票結果の発表は7月5日に予定されている。公式発表後に、エルドアン氏があらためて大統領に就任することで、トルコは1923年の建国以来続いてきた議院内閣制から大統領制に全面移行する。

エルドアン氏は、2014年に大統領直接選挙制度が導入されてから2期連続の当選となるが、2017年4月の憲法改正により今後、任期5年、2期まで大統領に就くことが可能だ。エルドアン氏は、首相時代を含め既に約15年間にわたりトルコを率いてきたが、今回の選挙においても得票率は約52%にとどまり(表1参照)、国民の分断に改善の兆しは見られなかった。

表1 大統領選挙の結果

エルドアン氏は24日夜半、今回の選挙で「国民の信任を得た」とし、「選挙で勝利したのはトルコの国民と民主主義だ。2023年の建国100周年に向けて全力を尽くし、テロ組織と戦い続け、トルコをより裕福な国にするように努力する」と勝利宣言した。

AKPは得票率落とすも共和同盟で過半数

総選挙は、与党AKPが前回の得票率49.35%を下回る42.54%にとどまったが、選挙連合を組んだMHPが事前予想の5%前後を大きく上回る11.11%を得票し、両党による共和同盟が53.65%の得票率で過半数を制した(表2参照)。他方、野党CHP主導の国民同盟は33.91%、クルド系政党の国民民主党(HDP)はMHPを上回る11.69%で、第3党になった。

表2 総選挙の結果

各種世論調査では当初、国民同盟とHDPからなる野党が過半数と予想されていたが、共和同盟の勝利により、議会と大統領の「ねじれ」は回避されるかたちとなった。エルドアン大統領の政権運営は安定したものになるとみられており、合理的な経済運営のかじ取りが期待されている。

(エライ・バシュ)

(トルコ)

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