EU・英国の労使団体、ブレグジット交渉の進展求める

(EU、英国)

ブリュッセル発

2018年06月28日

ビジネスヨーロッパ(欧州産業連盟)は6月27日、欧州の労働者側を代表する欧州労働組合連合(ETUC)、英国の労使それぞれを代表する英国産業連盟(CBI)および英国労働組合会議(TUC)との連名で、英国のEU離脱(ブレグジット)交渉の早急な進展を求める声明を発表した。この中で、「法規制の整合」「円滑な貿易取引の確保と非関税障壁の回避」「アイルランドと北アイルランド間のハードボーダーの回避」など主要課題について、合意を急ぐことをEUと英国政府に求めた。

雇用や経済など現実的な問題解決策の優先を要請

6月28~29日にブリュッセルで開催予定の欧州理事会(EU首脳会議)に向けて、EU・英国の労使4団体は2,000万の経営者、4,500万の労働者を代表して「前例のない共同声明(unprecedented joint statement)」を発表したが、この起草のために4団体の事務総長クラスが6月15日、初めてロンドンに集まったという。

この声明によると、4団体は「EU・英国の交渉スピードを上げ、具体的な進捗・成果を示すべき」としている。また、EUと英国の交渉不調が企業や労働者、地域(企業立地や労働者の居住地など)にもたらす代償は計り知れず、これを避けるため、政治(的駆け引き)よりも、雇用や経済からみた現実的な問題解決を優先すべき、と4団体は双方の交渉担当者に要請したという。特に、北アイルランド地域での国境措置(ハードボーダー)復活の回避およびEUに居住する英国市民、英国に居住するEU市民の権利についてはEU・英国の労使双方で合意していることから、EUおよび英国(政府)に対し、問題解決に向けた具体的かつ効果的な手法などについて、4団体と協議することを求めた。

これらの前提に立って、今後のEU首脳会議(6月と10月)で、「離脱協定」と「移行措置」について妥結する必要があることを、4団体は訴えている。

(前田篤穂)

(EU、英国)

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