BMW、マグナ・シュタイヤーに「Z4」新型モデルの生産を委託

(オーストリア、ドイツ)

ウィーン発

2018年06月14日

ドイツの自動車大手BMWは6月4日、スポーツカー「Z4」の新型モデルの生産をオーストリア・グラーツ市のマグナ・シュタイヤーに委託すると発表した。製造開始は2018年末を予定している。Z4モデルはBMWとトヨタの共同開発で、トヨタの「スープラ」と同じプラットフォームを使用している。正式にはまだ発表されていないが、オーストリアの現地メディアでは2019年からスープラもマグナ・シュタイヤーで生産される可能性が高いと報道されている。

BMWのマグナ・シュタイヤーとの提携は2001年に始まり、まず2003年にスポーツ用多目的車(SUV)の「X3」モデル、その後はミニを含めたBMWグループの幾つかのモデル、現在は「5シリーズ」を委託生産している。マグナ・シュタイヤーがこれまで生産したBMWグループの乗用車は120万台に上る。BMWオーストリアのクリスチアン・モラワ社長は記者会見で「今回の生産委託は、BMWがオーストリアを事業拠点として高く評価していることを示している」と述べた。BMWはオーバーエスタライヒ州シュタイヤー市にグループ最大のエンジン工場を持ち、4,500人を雇用している。

2001年設立のマグナ・シュタイヤーは、オーストリア人実業家フランク・シュトロナハ氏が1950年代にカナダで起業した自動車部品大手マグナ・インターナショナルの子会社で、自動車メーカーからの委託で自動車の開発・組み立てを行っている。BMWのほか、ベンツのSUV「G」、「M」および「Eクラス」、クライスラー「ボイジャー」、ジープ「グランドチェロキー」、アストンマーティンなど、高価格モデルを少量生産している。2017年にはインドのタタ・グループから子会社ジャガーの小型SUV「E-Pace」と電気自動車のSUVモデル「I-Pace」の生産を受託したことで、2018年第1四半期の生産台数は前年同期の約5倍の4万9,000台、売り上げは3倍の16億6,000万ドルとなった。通年の生産台数は20万台を超える見通しだ。

ちなみに、2017年のオーストリアから日本への自動車輸出額は前年比16%増の2億4,800万ユーロで、その多くがマグナ・シュタイヤーで生産された。

(エッカート・デアシュミット)

(オーストリア、ドイツ)

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