ブラジル中銀、政策金利を前回に続き6.5%に据え置き

(ブラジル)

サンパウロ発

2018年06月22日

ブラジル中央銀行の金融政策審議会(Copom)は6月20日、前回に続き政策金利(Selic)を年率6.5%で据え置く判断をした。既に前回(5月15~16日)の会合で据え置く見通しを示していた。今回の決定では、5月下旬に発生したトラック貨物業界のストライキによる経済活動への影響も懸念されるが、より緩やかなペースでブラジル経済の回復が続くという基本シナリオは維持されるとの見方を示している。その一方、外的シナリオは、先進国における金利水準の正常化に関連して、困難かつボラティリティー(価格の変動幅)の高い状況が続くとしている。

Copomでは金利判断の基準となるインフレ推移に関して、短期的にはトラック貨物業界のストやその他価格改定の影響を受け上昇圧力がかかるものの、引き続き低水準での推移を見込んでいる。ブラジル地理統計院(IBGE)によれば、2018年5月の拡大消費者物価指数(IPCA)の月間上昇率は0.40%と前月の実績値(0.22%)より0.18ポイント上昇した。寄与度でみると、住居関連が0.13ポイント、飲食料品が0.08ポイント、交通、医療・個人用品がそれぞれ0.07ポイントとなっている。住居関連は電気・ガス料金の改定、交通はガソリン、ディーゼル油といった燃料価格上昇の影響を受けた。Copomでは、5月だけでなく6月の指標にもストの影響が反映される可能性があるとしている。

6月15日付の中銀フォーカスレポートによれば、2018年通年のIPCA上昇率は3.88%、2019年は4.10%、2020年は4.00%と予測されている。過去からの予測値推移をみると、2018年、2019年の値は上昇傾向にあるが、いずれもインフレ目標中央値(2018年は4.50%、2019年は4.25%)を下回る水準だ。Copomでは、ブラジル経済が必要とする改革や調整を継続することが、中長期的なインフレ率を低く抑え、構造的な金利水準を引き下げ、さらには持続的な経済回復を実現するために必要不可欠と強調している。

(二宮康史)

(ブラジル)

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