日本企業誘致目指し、連雲港市が投資懇談会

(中国)

上海発

2018年06月06日

江蘇省連雲港市政府は5月30日、ジェトロと日本企業誘致を目的とした「2018連雲港(上海)投資懇談会」を上海市内で共催した。

連雲港市は江蘇省東北部に位置し、新ユーラシアランドブリッジ(中国と欧州を結ぶ鉄道)の起点都市として知られるが、「一帯一路」構想の下、中国・カザフスタンの物流中継基地、上海協力機構の海につながる拠点として、港湾、鉄道、空港などのインフラ整備が進展している。

江蘇省初の国際クルーズ開通、日本と結ぶ

2017年の港湾の貨物取扱量は2億3,000万トン、コンテナ取扱量は472万TEU(20フィートコンテナ換算個数)で世界32位となっている。連雲港発で中央アジアや中東欧に向かう国際貨物列車は、新ユーラシアランドブリッジの国際通過貨物量の60%以上を担っており、1日平均2.1便が運行される。ドイツのデュイスブルクまで12~14日、トルコのイスタンブールまでは14~16日で輸送が可能だ。また、4月29日には江蘇省内で初となる国際クルーズ航路が日本との間で開通したほか、2020年に開港が予定される新空港でも日本便の就航を目指している。

日本との関係では、1983年に大阪府堺市と、1998年に佐賀市とそれぞれ友好都市を提携しており、日本からの投資プロジェクトは累計243件、実行ベースの投資額は2億3,000万ドルで、昭和電工、シマノ、アマダ、味の素、カンタツ、ヤマコなどが連雲港市に進出している。

投資懇談会で基調講演を行った呉海雲副市長は、今後は、バイオ製薬、医療機器、特殊繊維、新エネルギー自動車、ハイテク装備製造、石油化学工業などの分野における協力をより重点的に推進していきたいと強調し、日本企業の投資を呼び掛けた。さらに、連雲港市の特色である農林水産業を生かした食品加工や、豊富な観光資源の共同開発にも期待を示した。

また、2010年8月に同市に単独資本で進出したスマートフォン向けレンズを生産するカンタツの原良二総経理が同市の投資環境の魅力について、(1)行政サービス、特に進出後のサポート体制がしっかりしていること、(2)電力供給が安定しており、これまで一度も供給制限を受けたことがないこと、(3)土地や労働者の供給も比較的余裕があり、コストも相対的に安いことなどを紹介した。

(陸姿音、小栗道明)

(中国)

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