テック企業対象に医療の課題解決ソリューション募集

(シンガポール)

シンガポール発

2018年06月06日

保健省傘下のヘルスケアIT開発機関、総合医療情報システムズ(IHiS)は、公立医療機関の課題解決ソリューションを募集する「ナショナル・ヘルステック・チャレンジ」を実施中だ。4月15日から同省傘下の医療機関を対象に課題を募集し、5月18日からウェブサイト上に124件の課題を掲載している(注)。

IHiSは6月30日まで、課題に対するソリューションを開発するテック系企業を募集しており、外資を含めた全ての企業が基本的には対象となる。5月末までに40件の応募が寄せられている。ソリューションを開発するテック系企業はIHiSのウェブ上で申し込み、病院側がどのテック系企業と組むか決める。

その後、IHiSは支援対象とするプロジェクトを審査し、約20件まで絞り込む。上位10件の開発チームは7月17日、シンガポール・エキスポで開催予定の大型イベント「ナショナル・ヘルスITサミット」でピッチコンテストに出場。コンテストでは、医師や看護師など医療関係者約400人が最優秀チームを決める予定だ。

IHiSは上位20件のプロジェクトについて、ソリューションの概念実証(PoC、期間1年~1年半)に必要な助成金の獲得をサポートする。応募するテック系企業にとっては、医療機関が実際に抱える課題を解決する機会が得らえるメリットがある。

アシストロボなど日系企業の参加に期待

IHiSはこれまで単発の実証は実施していたが、公立病院の課題を集約して、課題解決の企業を大々的に募集するのは初めて。今回のヘルステック・チャレンジで、(1)医療現場での看護師の負担など軽減する小型のアシストロボット、(2)医療従事者の研修に使用可能な仮想現実(VR)または拡張現実(AR)、(3)医療や健康情報を一般の人々に向けて効果的に伝えるメディア技術、(4)低コストでメンテナンスが可能な在宅患者のモニターができる見守り技術で日系企業の参加に期待している。IHiSは2019年以降も毎年、ヘルステック・チャレンジを実施していく方針。

(注)医療機関が提出した124件の課題は、IHiSのウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに掲載されている。

(本田智津絵)

(シンガポール)

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