デュッセルドルフでシンポジウム、日独自動車産業の未来を議論

(ドイツ)

デュッセルドルフ発

2018年06月13日

ドイツ・デュッセルドルフで5月28日、ノルトライン・ウェストファーレン(NRW)州やデュッセルドルフ市主催の「日独経済シンポジウム2018外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」が開催された。同シンポジウムは、日本文化の紹介を目的とする「日本デー」に併せ毎年開催されており、2018年は「自動車の未来-日本とドイツからの技術革新」というテーマの下、日独双方から約350人が参加した。

基調講演では、ドイツ自動車工業会(VDA)副会長で、キルヒホフ・オートモーティブ・ホールディングスマネジングパートナー・CEO(最高経営責任者)のアルント・G・キルヒホフ氏が登壇し、「自動運転や電気自動車(EV)をはじめとした新技術の開発や世界的な標準の策定などに日独の企業が協力して取り組んでいくことが重要」と指摘した。

続いて登壇した日本自動車工業会(JAMA)欧州事務所の岡紳一郎所長は、2017年12月に最終合意に至った日EU経済連携協定(EPA)は「市場アクセスのみならず、規制面で双方の協議が促進される枠組みでもある点を評価している」とし、同EPAの一刻も早い発効を求めたほか、同工業会の「日本の中長期モビリティビジョン」(注1)を例に、「変革の時代の課題解決に向けて、自動車産業および国境を越えた挑戦が不可欠」と強調した。

トヨタ・モーター・ヨーロッパのフェルトマン真里子氏は、同社の今後の方針について「次世代自動車のラインアップをさらに充実させていく」と説明し、さらに2017年のダボス会議で発足した水素協議会(注2)の枠組みを通じて、水素社会の実現をグローバルレベルで取り組んでいくとした。

パネルディスカッションでは、炭素繊維などの活用による軽量化やイノベーション創出に向けた取り組み、社員の意識改革などについて、活発な議論が行われた。

写真 パネルディスカッションの様子(ジェトロ撮影)

(注1)2030年に向け、日本社会の変化に対応し、交通・移動分野における安全性向上や環境負荷低減などを進め、課題先進国として世界をリードすることを目指す中長期的展望を示す。

(注2)世界的なエネルギー移行の中で、水素技術が果たす役割を推進するグローバル企業のCEOによるイニシアチブ。

(森悠介)

(ドイツ)

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