2期目のエルシーシ政権がスタート

エジプトのアブドゥルファッターハ・エルシーシ大統領は6月1日、議会で2期目就任の宣誓を行い、「全能の神、共和党制度を忠実に支持し、憲法と法律を尊重し、国民の利益を完全に支え、国家の独立と領土保全を守るよう誓う」と述べた。任期は2022年までの4年間。3月26～28日に行われた選挙で当選していた（2018年4月5日記事参照）。

就任式典は1日の午前からにぎやかに執り行われ、国歌と祝砲などで祝された。式典を進行したアブデルアール議長は「1期目の4年間にわたり、公約したことを成し遂げ、スエズ運河の拡張、外貨準備高の増加、失業率の低下、治安回復、生活向上などの大きな業績を達成した」と述べた。さらに、エジプトはテロの深刻な脅威に直面したが、「エジプト人は、全ての試練と痛みを克服することに成功した」と付言し、これまでの大統領の功績をたたえた。

エルシーシ大統領の1期目は、数多くの改革への取り組みが奏功し、内外から高い評価を得たといえる。外貨の安定供給と治安維持はビジネス上の課題でもあり、国家の信用を回復させる喫緊の課題だったが、取り組みは成果を上げている。現在も情勢は改善に向かっており、フィッチ・レーティングスによる信用格付けでは、2018年1月時点でBポジティブまで評価が上がっている。

エルシーシ大統領は宣誓式後、暴力、テロ、過激派の思想の排除を強調した。同大統領は、一連のジハード派の攻撃に直面して何百人もの軍人や市民が死亡し、その多くはシナイ半島北部で起きているとしており、シナイ半島の安定にさらに力を注ぐものとみられる。半島南部においては多くのプロジェクトを実行しており、インフラの整備から住宅の新設などが行われてきた。また、大統領報道官などのコメントでは、エチオピアとのルネッサンスダム建設をめぐる問題、米国との関係強化、国家安全保障上の重要な利害関係にあるリビア、シリアとの交渉も促進すると言及した。

宣誓式が行われる1週間ほど前から、閣僚人事に関する報道も多くみられ、大規模な閣僚交代が行われると複数のメディアは報じている。現在約30ある閣僚ポストのうち、続投するポストは防衛相など2～3ポストで、ほとんどが交代する可能性があるとみられている。

（常味高志）