ボルボが米国初の工場をオープン

(米国)

アトランタ発

2018年06月27日

スウェーデン自動車メーカーのボルボ・カーズは6月20日、米国で初の製造拠点となるサウスカロライナ工場の開所式を行い、同工場で生産されるセダンの新型モデル「S60」を披露した。投資総額11億ドルの同工場のほか、サウスカロライナ州チャールストン地域に整備の訓練施設となるボルボ大学など複数の施設を建設する予定。

初年度の雇用数は1,500人で、年間5万台を生産し、約半数はチャールストン港から輸出される予定。今後、3年以内をめどに同工場からの輸出台数が、米国へのボルボ車輸入台数に追い付くよう生産を増やしていき、ハイブリッド車(HV)および電気自動車(EV)を年間最大15万台生産する計画だという。そして新型スポーツ用多目的車(SUV)の「XC90」が生産開始される2021年度末には雇用数4,000人を見込んでいる。

ボルボ・カーズのハカン・サミュエルソン最高経営責任者(CEO)は、同工場設立により「われわれは真のグローバル企業と同時に、米国企業になった。米国の消費者に最適の車を生産するには米国の地元企業でなければならない」と話した。

同社の米国市場での売上高は2017年に前年比41%近く増加したが、好調なSUVの売り上げ増によるもの。米国市場全体ではセダンの需要が低迷しているが、サミュエルソンCEOは、若い世代を中心にS60の潜在的な需要は大きいはずと強気だ。

開所式では米国の通商政策に対する懸念表明も

開所式では、駐米スウェーデン大使やサミュエルソンCEOらが米国の通商政策に対する強い懸念も表明した。カリン・オロフスドッター駐米大使は「米国での貿易環境の現状を懸念している。鉄鋼・アルミ関税、そして自動車への追加関税について大いに危惧している」と話し、列席していた政治家や産業界首脳らに、トランプ政権の関税政策に一致して反対するよう呼び掛けた。サミュエルソンCEOも、同工場は「開かれた自由貿易制度下での投資」であり、「貿易障壁は今後の雇用計画に悪影響を及ぼす可能性がある」と牽制した。

なお、式典には前サウスカロライナ州知事で現在、米国国連大使を務めるニッキー・ヘイリー氏も出席した。

(ラマース直子)

(米国)

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