IMFと500億ドルの融資枠組みで合意

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2018年06月08日

アルゼンチンとIMFは6月7日、500億ドルのスタンドバイ取り決め(SBA)による融資枠組みで合意したことを発表した。緊急時にアルゼンチン政府が融資を受けられる期間は36カ月間。今回の合意内容を、IMFは6月20日に開催される理事会で承認する予定だ。

アルゼンチンの要請から約1カ月のスピード合意に

5月8日にアルゼンチン政府がIMFに融資枠の要請をしてから、IMFは速やかに合意に向けて取り組み、約1カ月でのスピード合意となった。また、融資額も当初300億ドルとされていたものの、それを大幅に上回る500億ドルとなった。なお、理事会の承認直後から、融資額全体の30%に相当する150億ドルの融資を受けることが可能になる。

クリスティーヌ・ラガルドIMF専務理事は声明において、今回の融資およびそれに付帯するコンディショナリティー(貸付条件)の内容はアルゼンチン政府が自ら組成したものであることを強調するとともに、IMFとして同国の改革努力に資金面から支援すると述べた。また、IMFとしては、アルゼンチン政府がコンディショナリティーを遂行する上で、社会的弱者への再分配を考慮するように指摘するなど、同国内でまん延する「IMF悪者論」に配慮した声明となっている。

コンディショナリティーの内容については、マクリ政権の優先課題である財政規律の観点から、プライマリーバランス(基礎的財政収支)の達成を従来の計画よりも1年前倒しの2020年とし、財政赤字のGDP比率についても、先日発表された2018年目標の2.7%に加え、2019年には当初目標の2.2%から1.3%に前倒しで改善するなど、政権の意気込みがにじみ出ている。

また、インフレターゲットについても、2019年に17%、2020年に13%、2021年に9%とするなど、引き続き意欲的な内容になっている。ただし足元では、2018年のインフレ目標を19%にしているものの、4月下旬から5月上旬に見舞われた自国通貨ペソの急落によって、目標達成は困難とみられており、最新の中央銀行によるエコノミスト見通し(REM)では27.1%と発表されている。

(紀井寿雄)

(アルゼンチン)

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