モロッコとスペインがエネルギー分野で協力を加速

(モロッコ、スペイン)

ラバト発

2018年06月13日

モロッコとスペインのエネルギー担当閣僚会談が、モロッコの首都ラバトで行われた。モロッコは、自国を欧州とアフリカの結節点と捉えており、両国のエネルギー分野での協力を通じて大陸をまたいだ経済連携の一翼を担うことを目指している。モロッコのアジズ・ラバハ・エネルギー・鉱山・持続可能な開発相は5月28日の会談で、増加するエネルギー需要に応えるため、両国企業が合弁事業を実施しやすい枠組みの創設と、民間部門での協力関係強化の必要性を説いた。

モロッコは国内電力需要のうち17%をスペインから輸入しており、電力供給の確保を目的に両国間で3本目となる送電網の敷設が検討されている。モロッコとスペインの系統連系送電網は1997年に1本目が、2006年に2本目が完成した。この連系線向け電力供給の総容量は1,400メガワット(MW)で、送電容量400キロワット(kW)の海底ケーブルが2本通っている。現在は、これらに続く3本目の送電網の敷設が検討されている。なお、スペインにとってモロッコは最大の電力純輸出国で、送電網を管理するモロッコ国営電力水道公社(ONEE)は1999年以降、スペインの電力供給市場における4番目の相手先となっている。

また同会談では、モロッコを経由しスペインとアルジェリアをつなぐ「マグレブ欧州間ガスパイプライン」も議題に上った。モロッコは同パイプラインの通過料として天然ガスを輸入しているが、2021年に契約満了を迎える。現時点では、モロッコはアルジェリアのみから天然ガスを輸入しており、契約満了後の天然ガスの供給確保が不可欠なことから、同会談ではモロッコとスペイン両国のガス分野における協力の将来展望についても議論された。

スペインのアルバロ・マリア・ナダル・ベルダ・エネルギー・観光・デジタル化相は、モロッコとのエネルギー分野の協力を歓迎するとともに、他の欧州諸国と比較して、スペイン~モロッコ間の送電網が円滑に機能していることを示し、さらなる協力関係の深化を求めた。両国は、スペイン国王のフェリペ6世が今後、モロッコを訪問する際に、電力市場ネットワークの統合、再生可能エネルギーの開発、エネルギー利用の効率化などに関する協力覚書に署名することを目指している。

(井上尚貴、内川未来)

(モロッコ、スペイン)

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