メルコスールとEUのFTA、自動車分野などで交渉継続

(南米南部共同市場<メルコスール>、EU、ブラジル)

サンパウロ発

2018年06月26日

パラグアイで6月18日に開催された南米南部共同市場(メルコスール)首脳会合に合わせて、欧州委員会のダニエル・ロザリオ報道官は同日の定例記者会見で、メルコスールとEUの自由貿易協定(FTA)交渉合意にはいまだ行うべき作業が残っていると強調した。合意には双方の譲歩が必要で2018年1月の閣僚級会合で提起された条項に関する作業が残っているとコメントしている。メルコスールとEUのFTA交渉は、2018年第1四半期時点では上半期中に合意するとの見通しが報道されていた。

欧州委が6月12日に公開した報告によると、メルコスールとの交渉で調整作業が残る代表的なものは自動車・同部品、原産地呼称、乳製品としている。

一方、ヌネス・ブラジル外相は6月13日、EUとの交渉で当初300あった相違点は50に減っており、専門家会合を通じて少しずつ障害を取り除いていると強調、ブラジルとEUでの選挙を念頭に2018年内もしくはなるべく早い時期に完了するとの見通しを明らかにしている。外相によると、EUとの交渉で議論がまとまっていないのは自動車分野と知的財産条項における医薬品特許規則や原産地呼称、海運サービス、メルコスール側が要望する牛肉や砂糖輸出に関連する規則だとしている。

欧州委のロザリオ報道官のコメントは、メルコスール首脳会合前日の6月17日に行われた同外相会合において、ウルグアイのロドルフォ・ニン・ノボア外相がEUとメルコスールの交渉は決裂寸前に近づいており、中国など他の地域とのFTA交渉を模索すべきだとして、交渉合意に向けたEU側の真意を正す発言に対応したものだ。

ロザリオ報道官はさらに、「EUはメルコスールとの合意を実現していく。現在までの大幅な交渉進展はウルグアイ・モンテビデオで6月から始まった交渉においてだ」と強調している。テーメル・ブラジル大統領も、メルコスール首脳会合で行った演説において、単独で中国とのFTA交渉をほのめかすウルグアイを念頭に置くかたちで、EUとの交渉優先をあらためて示す一方、中国との交渉には触れなかった。

テーメル大統領は、7月末に開催予定の太平洋同盟(チリ、コロンビア、ペルー、メキシコが加盟)とのサミットを前に、太平洋同盟とのより積極的な対話に期待を表明している。

(大久保敦)

(南米南部共同市場<メルコスール>、EU、ブラジル)

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