サウジアラビアで女性の運転が解禁、歴史的な一日に

(サウジアラビア)

リヤド発

2018年06月26日

6月24日、サウジアラビアは「女性の運転解禁」という歴史に残る一日を迎えた。これまでは、世界でも類のない女性が運転できない国として知られてきたが、2016年4月に発表された「サウジ・ビジョン2030」の下で進む社会・経済改革の1つの成果が示された格好となった。

写真 女性の運転解禁を報じる当地新聞(ジェトロ撮影)

これまで女性の運転は法律で禁止されるのではなく、イスラムの教えに厳格に従う社会慣習として認められてこなかったが、サウジ・ビジョン2030が目指す「活力ある社会」達成の目玉政策として、2017年9月末に解禁が発表された。それ以降、女性専用自動車教習所の整備、女性による交通事故処理チームの編成、またセクシャル・ハラスメント防止法の制定など、政府は着々と運転解禁に向けた準備を進めてきた。

ビジネス界からは、自動車販売台数の増加、保険ビジネスの活発化といった経済効果が期待されてきたが、2017年来の景気低迷、消費後退の影響を受けて今のところまだ盛り上がりは見られず、関連企業からは当て外れとの声も聞かれる。ただし、最大の政策課題でもあるサウジ人失業率の低減においては、運転の解禁で女性が就業に前向きに取り組むことが見込まれ、今後の好転が期待されている。

なお、女性の運転解禁に、メディアを含め大多数の国民が総論として賛成する一方で、「事故が増える」「渋滞がひどくなる」「自分の娘には運転してもらいたくない」「しばらくは運転せず様子を見る」といった慎重な意見もある。

(庄秀輝)

(サウジアラビア)

ビジネス短信 5b0d419241a5f154