チェンナイメトロの新区間が開通

(インド)

チェンナイ発

2018年06月06日

インド南部チェンナイ市内で鉄道を運行しているチェンナイメトロは5月25日、1号線のリトル・マウント駅からAG・DMS駅までと、2号線のネルー・パーク駅からチェンナイ中央駅までの区間を新たに開通した。2号線はこれをもって全線が開通した(添付資料参照)。中央駅は長距離鉄道が発着するインド南部鉄道のターミナル駅だ。今回の開通により、チェンナイ国際空港から中央駅へメトロだけで行けるようになり、利用者の市内中心部へのアクセスが改善される。

当初計画から2年半遅れ約75%が開通

当初、メトロの1号線と2号線は、2015年12月に全線開通予定となっていた。しかし、工事落札業者の契約不履行による再入札、地中のトンネル工事の難航などにより、開通が大幅に遅れた。今回、2路線計6新駅を通る区間が開通したことで、全体の約75%の区間が利用可能になった。

地元紙によると、メトロで空港から中央駅までの所要時間は約50分。2号線は市内中心部を迂回するルートとなっているものの、タクシーやオートリクシャー(三輪車タクシー)を利用した場合に比べ所要時間は短いとのことだ(「タイムズ・オブ・インディア」紙5月26日)。また、中央駅近辺では慢性的な渋滞が発生しているため、近距離移動の利用者の増加も期待される。

課題は高い運賃とさらなる利便性の向上

チェンナイメトロは、2015年6月に運行を開始し、徐々に延伸されている。一方で、他都市のメトロと比べ高い運賃や、市内中心部を通る区間の一部未開通により、現状では市民の生活の足となっているとは言えない。

運賃は最も安い区間で10ルピー(約16円、1ルピー=約1.6円)だが、空港から中央駅までは70ルピーかかり、国内のメトロで最も高額とされる(「ザ・ヒンドゥー」紙5月26日)。鉄道やバスといった他の公共交通機関と比べても運賃は高い。

利便性の面でも課題は残る。1号線のうち、チェンナイの目抜き通りであるアンナ・サライ通り沿いのAG・DMS駅から中央駅までの区間は開通していない。アンナ・サライ通りは交通量が多く通勤時間帯を中心に渋滞するため、この区間が開通すれば通勤者を中心にさらなる利用者の増加が見込まれる。

(坂根良平)

(インド)

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