国際経済フォーラム、デジタル経済分野で外資との協力が拡大

(ロシア)

欧州ロシアCIS課

2018年06月04日

第22回サンクトペテルブルク国際経済フォーラム(SPIEF)が5月24~26日、開催された。ロシア政府が推進するデジタル経済分野で地場企業と外国企業との間で協定の締結が相次いだ。

通信分野では5G(第5世代移動通信システム)分野に案件が集中。移動通信大手のメガフォンはフィンランドの通信機器大手ノキアと5G通信、IoT、仮想現実(VR)、拡張現実(AR)技術分野での戦略的協力協定を締結。メガフォンは2022年までにモスクワ市で5Gの通信網を導入する。同じくヴィンペルコムは中国の華為技術(ファーウェイ)との5G導入に関する戦略的パートナーシップを締結した。

デジタルマーケティングにIT技術を導入しようとする動きも相次いでいる。地場小売り大手のマグニトは、韓国サムスン電子とスマートリテール(注)分野などで共同事業協定を締結した。地場銀行最大手のズベルバンクは、ファーウェイと人工知能(AI)活用に向けた協力事業を実施する。有料道路などの運営・管理を行うアフトドルは、欧州ソフトウエア大手SAPのロシア法人と料金体系の最適化と道路メンテナンス業務を効率化するシステム開発で協力する。銀行大手ルスキー・スタンダルトとドイツ大手小売りメトロ・キャッシュ・アンド・キャリーは、クレジット決済大手のマスターカードと提携しロシアで初めてのキャッシュレス店舗を導入する。

保健・医療分野でもデジタル化に向けての協定が締結されている。金融最大手ズベルバンク傘下のズベルバンク生命保険はIBMと協力し、AIを利用したがん治療について試験段階から実用段階に移行させる。地場複合企業(コングロマリット)のシステマと同社傘下で地場診療最大手のメドシは、ドイツ医療機器販売シーメンスヘルスケアとイノベーション事業に関する長期的パートナーシップを締結している。

(注)デジタル機器やIT技術などを活用し小売業での効率化を目指すこと。

(高橋淳)

(ロシア)

ビジネス短信 163c5a93571ef6e0