ビジネス環境を改善する「ビジネス憲法」が発効

(ポーランド)

ワルシャワ発

2018年05月14日

ビジネス環境の改善を目的にしたいわゆる「ビジネス憲法」パッケージが4月30日に発効した。同パッケージは、マテウシュ・モラビエツキ首相が前政権で副首相兼経済開発相を務めていた際に中心となって策定し、2016年2月に発表した「責任ある開発計画」(2017年2月に閣議決定)でも重要施策の1つとして位置付けられている。早期導入を目指していたが、2016年11月の基本方針発表から1年半近くを経て、ようやく発効に至った。

「ビジネス憲法」パッケージは、「起業家法」「経済活動に関する登記・情報ならびに起業家向け問い合わせ窓口の一元化に関する法」「中小企業のためのオンブズマン法」「外国企業ならびにその他外国人のポーランドでの経済取引への参加にかかる法」「起業家の権利ならびにその他経済活動に関する規定改正法」の5つの法から成る。

具体的には、例えば、起業を促すため、個人の自営による副業の対価が本業の月収の50%を超えない限り当局へのビジネス活動の登録は不要となった。そのほか、起業後6カ月間の社会保障の支払いが免除されるなど、起業家にとってビジネス環境が大きく改善された。

一方、「ビジネス憲法」の名が示すとおり、禁止されていない事業活動は許容されていると見なされること、規則が不明瞭な場合は起業家にとって有利となるように解釈されることなどの法原則も多く定められた。こうした法原則の実効性は、実際には行政の運用に委ねられることになる。

行政手続きの電子化も加速

また、ビジネス環境改善を目的として、行政の電子化も加速する。既にあったビジネスの立ち上げ、運用にかかる情報のポータルサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを大幅に改編し、今後行政手続きの電子化を進めていく。最終的には既に電子化されている手続きに加えて、100以上の手続きを電子化する予定だ。

(小松理恵、牧野直史)

(ポーランド)

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