科学分野などの枠組みに関しても英国案

(英国)

ロンドン発

2018年05月31日

政府は5月23日、科学・研究・イノベーションに関して英国が求めるEUとのパートナーシップの枠組みを公表した。政府のEU離脱(ブレグジット)チームにより作成されたもので、EUとの新しい「深く特別なパートナーシップ」は、経済パートナーシップ、安全保障パートナーシップ、分野横断的協力の3本柱から成り、今回は公表された案は、そのうち分野横断的協力の一部に分類される。

科学・研究・イノベーションの枠組みについては、社会的課題への対処や新規アイデアを促進し、世界的な競争力と生産性の核心になるとして重要性を示し、英国とEUが協力することで研究分野に相乗効果があるとした。EUは既に日本を含めた20カ国と科学技術に関する2国間協定を締結しており、英国はEUとの「科学・イノベーション協定」が将来の科学技術分野でのパートナーシップの核になるとした。

同協定は対話、枠組み(プログラム)、インフラ、情報交換、規制と倫理といった広範囲に及び、(1)英国・EU間の信頼と透明性を反映した緊密な協力関係の提供、(2)共通の目的や志、価値の反映、(3)将来のEUの科学・研究・イノベーションプログラムへのアクセス、(4)相互の志にかなうハイレベル合意、(5)力強く、適切で、相互に利益のある関係、を実現するとしている。

原子力分野での緊密な関係を維持

欧州原子力共同体(Euratom)の研究プログラムについては、緊密な関係の維持を提案した。これは、5月21日のテレーザ・メイ首相のスピーチでも触れられている。英国原子力産業協会のトム・グレートレックス会長は、科学のイノベーションは英国の民間原子力セクターの核になるとし、「欧州原子力共同体の研究開発プログラムで働く高技能者は数千人おり、彼らの多くは国民投票以降、将来の仕事について不安を感じていた。英国政府が、欧州原子力共同体のプログラムに参加することの利益を認識したことを歓迎する」と述べ、欧州委員会の肯定的な反応に期待を示した。

(鵜澤聡)

(英国)

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