政府、AI教育や研究強化の方針を発表

(スウェーデン)

ロンドン発

2018年05月28日

政府は5月16日に「AI(人工知能)のための国家方針」を発表し、大学におけるAI教育と研究の強化の必要性、研究と産業の連携の強化、関連法規の整備などが必要だとした。欧州委員会が4月25日に発表したAIに関する方針(2018年4月27日記事参照)を歓迎、欧州のAI振興において中心的な役割を果たすことを目指し、AI戦略の準備を進めることにしており、10月に発表する2019年度予算案には、AI振興10カ年計画が盛り込まれるものとみられる。

また、ペーテル・エリクソン住宅・デジタル開発相は5月16日、AIの国際的な連携支援施設「Data Factory & Arena」をヨーテボリのリンドホルメン・サイエンスパークに設立することを発表した。各分野での産学官協力の下、国内外の関係者が協力して開発研究を進めることを目指し、オープニングセレモニーは2018年第3四半期に予定されている。

後れを取る自動車産業

スウェーデンはAI分野において後れを取っている。イノベーション庁は4月30日に発表した報告書「スウェーデンの産業界と社会におけるAI」で、個人情報保護などによる個別データへのアクセスが制限される一方、データ活用に関する法的な未整備、技術者不足、研究不足などを指摘し、特に自動車産業において後れを取っていることを強調している。AIに関する特許は高度道路の交通システムに関連するものが多いが、スウェーデンは自動車産業を擁するにもかかわらず同分野での特許取得に関して存在感が薄れている。

ヘレーネ・ヘルマルク=クヌートソン高等教育研究相は「AI分野に関わっている人々への研修、教育も必要だ。長期的には大学がそのための短期コースを提供できるような体制を整備したい」と語った(Ny Tecnik5月15日)。政府はまた、基礎学校(小・中学校に相当)におけるプログラミングや高校にAI関連のコース設置も検討している。

(三瓶恵子)

(スウェーデン)

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