総合エンターテインメント地区「Qiddiya」の開発が正式にスタート

(サウジアラビア)

リヤド発

2018年05月02日

ビジョン2030の下でのプロジェクトがまた1つ動き出した。4月28日夜、サルマン国王、ムハンマド皇太子を含む政府高官らが定礎式に参加し、リヤド市の南西約40~50キロの場所に建設されるエンターテインメント、スポーツ、文化の総合地区「Qiddiya」(当地の発音でギッディーヤ)の開発が正式に開始された。

ギッディーヤの建設予定地は、長い年月の浸食によって形作られたテーブルマウンテンが連なり、米アリゾナ州/ユタ州のモニュメントバレーをも思い起こさせる一帯で、現在のリヤド市(412平方キロ)にも匹敵する334平方キロの「新都市」が開発されることとなる。地形を生かしたアウトドア/インドアスポーツ、ウオーターパーク、モータースポーツ、インドア・ウインタースポーツ、サファリなどのゾーンから構成される計画だ。

写真 ギッディーヤ建設予定地(ジェトロ撮影)

ギッディーヤは、サウジアラビアで進む「3大ギガプロジェクト」(注)といわれる巨大開発プロジェクトの1つ。残る2つが西部紅海沿岸での開発計画であるのに対し、ギッディーヤは首都郊外に建設される。同プロジェクトの運営会社は、政府系投資ファンド「公的投資基金」(PIF)傘下のエンターテインメント開発投資会社(DIEC)で、米国の遊園地シックスフラッグスも同地区内に建設されることが決まっている。

写真 ギッディーヤ建設予定地の入口(ジェトロ撮影)

同プロジェクトは3つのフェーズに分けられており、第1フェーズは2022年に終了する予定。当地報道では、ギッディーヤへは2030年までに年間1,700万人の来場者を見込み、5万7,000人の雇用が創出され、サウジアラビア人による年間海外旅行経費300億ドルの一部が国内娯楽消費に向けられる、といった経済効果が生じるとされている。

現在は一部道路を除いてさら地のギッディーヤには、水道・ガス・電気・通信などの基礎インフラ敷設や開発資材需要に加え、シックスフラッグスに続く娯楽ビジネス、宿泊施設、飲食店など付随サービスの誘致も行われていく見込み。

政府内では観光ビザの解禁も検討が進められており、同プロジェクトも国外からの観光の目玉の1つとする狙いがある。

(注)地域のシリコンバレーを目指した「NEOM」と、リゾート地区開発の「Red Sea Project」、そして開発が開始したリヤド近郊のギッディーヤ。

(柴田美穂)

(サウジアラビア)

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