6月から中古車の輸入と運行に年式規制を導入

(コートジボワール)

アビジャン発

2018年05月22日

2017年の中古車輸入台数は前年比20.9%増の5万8,392台となり、低単価の車両を中心に底堅い需要がみられた(表参照)。2018年1月の輸入台数は、中古車の輸入規制強化を直前に控えた駆け込み需要を見込み、前月より大幅に増えて1万台に達した。

表 中古車輸入台数

低年式車を中心に需要が拡大

中古車の輸入は、過去6年にわたり年平均20%に近い伸びが続いており、新車の6倍の規模に達している。運輸省管轄の自動車輸入ワンストップ窓口によると、輸入中古車の市場規模は約3,000億CFAフラン(約600億円、1CFAフラン=約0.2円)に上り、これに伴う関税収入は1,000億CFAフランを超える。

市場拡大は、中間所得層の増加による消費者の購買力向上や、ユーザー需要の多様化が一因だ。一方、中間所得層でも手の届く車両は低年式車が多く、運輸省によれば国内で走行する車の8割弱が16~20年経過車だという。

老朽車両の代替、安全性能や環境対応を強化

政府は、自動車走行の安全や環境対応を強化するため老朽車両の更新に取り組んでいる。その一環として、中古車の輸入と事業用車両の運行に関して年式規制を導入する政令を制定した。用途別にそれぞれ年式規制を設けており、タクシー・ハイヤー・乗用車(一般車両は輸入もしくは初年度登録から5年以内、事業用車両は7年以内)、マイクロバスおよび5トン以下の小型トラック(7年、10年)、34人乗り以上のバス(10年、15年)、5トン以上の大型トラック(10年、20年)。なお、事業用車両の運行に対する規制導入は、10年の移行期間が見込まれる。これと並行して、新車買い替え時の廃車プレミアムの導入を見込んでいる。

中古車業界団体は、当初予定されていた4月1日の施行期日までの周知・準備期間が短すぎるとして反発していたが、政府との協議で、適用を6月まで先送りすることで合意した。

一方、安全性に問題のある中古車が大量に流通する中、多くの新車ディーラーは、新規開拓につなげる事業として認定中古車販売に乗り出し、ユーザーの囲い込みを図っている。

自動車市場は、今後の経済成長に伴い拡大が予想され、新車、中古車を問わず需要の高まりで、販売競争も加速しそうだ。

(渡辺久美子)

(コートジボワール)

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