保険大手、上場で葬儀ビジネス拡大を狙う

(南アフリカ共和国)

ヨハネスブルク発

2018年05月24日

保険大手オールド・ミューチュアルは、6月25日にロンドン証券取引所に、翌26日にはヨハネスブルク証券取引所に上場する。南アフリカ共和国においては、親族および近隣住民を招いて、葬儀を大々的に催すことが習慣として残っており、同社は、低所得者層を中心とした葬儀用の積み立て保険を主力商品の1つとして売り出している。

オールド・ミューチュアルは、上場により得た資金を活用して、葬儀ビジネスの拡大を図る予定で、またグループ傘下にはネド銀行があるものの、新たに銀行サービス業務への参入を目指すともうわさされている。

南アには、リテール金融を柱に据える4大銀行(スタンダード銀行、ファースト銀行、ネド銀行、アブサ銀行)や大手投資会社のインベステックがあり、また、保険分野でもオールド・ミューチュアルのほかに、サンラム、リバティー、ホラード、ディスカバリーなどがある。これら大手金融サービス企業の活動領域は、南アから、南部アフリカおよびサブサハラアフリカ市場まで広がる。

南アの2017年の実質GDP成長率は1.3%、2018年(見通し)は1.5%(いずれもIMF)で、産業別のGDP構成比では、金融・保険・不動産サービス部門が20%超を占め、2017年の成長率への寄与度は0.4ポイントとなっている。

なお、日本の3大メガバンクも南アの4大銀行のうち3行とそれぞれ提携関係にあり、日本の大手損害保険各社もサンラムやホラードなどと提携関係にある。さらにディスカバリーは、日本の大手生命保険会社などと連携し、南ア発の健康増進保険商品を日本市場に売り出すことを計画している。

(根本裕之)

(南アフリカ共和国)

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