マドゥロ大統領が再選、国際社会は選挙認めず

(ベネズエラ)

ボゴタ発

2018年05月24日

5月20日に行われた大統領選挙は、現職のニコラス・マドゥロ大統領が2位以下に大差をつけ、再選を果たした。野党連合(MUD)が選挙の正当性を否定し、事実上のボイコットをしたことで、投票率は46.02%にとどまった。

敗れた候補は再選挙求める

国家選挙管理委員会(CNE)の発表によると、マドゥロ候補の得票数は624万4,016票、野党連合(MUD)を離脱して立候補したヘンリ・ファルコン候補は192万7,174票、福音派牧師のハビエル・ベルツッチィ候補は98万8,761票だった。

ファルコン候補、およびベルツッチィ候補は、投票所の200メートル以内に「赤い点」と言われる与党支援所があったことや一部の投票所が終了時刻になっても閉鎖されなかったなどとして、不当な選挙であることを訴え、再選挙を求めた。

これ対し、CNEのルセナ委員長は、選挙プロセスは公正で透明性ある投票が行われたと述べ、マドゥロ大統領も再選挙には応じないとした。

ロシアのプーチン大統領はマドゥロ大統領の再選を祝福し、2国間および多国間の課題にロシアはベネズエラとともに継続して取り組んでいくとした。また、中国の習近平国家主席は、両国は運命共同体であり、国家の発展と国民の繁栄は続くと述べた。

一方、米国政府は「選挙は公正でなかった」とし、ベネズエラ政府の債権や政府系企業の株式に関して米国人の取引を禁止する大統領令を発令し、直ちに追加の制裁措置を取った。また欧州諸国やGrupo de Lima(注)も公正な選挙が行われなかったとし、経済制裁を強化する方針を示唆。マドゥロ大統領の再選により、ベネズエラの孤立がさらに進むことが懸念されている。

(注)2017年8月にペルーでベネズエラ情勢に関する米州地域の緊急外相会合が開催され、ベネズエラの制憲議会発足を認めないとした「リマ宣言」を採択。それに賛同した14カ国(アルゼンチン、ブラジル、カナダ、チリ、コロンビア、コスタリカ、グアテマラ、ホンジュラス、メキシコ、パナマ、パラグアイ、ペルー、ガイアナ、セントルシア)のことをいう。

(マガリ・ヨネクラ、高多篤史)

(ベネズエラ)

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