2018年の実質GDP成長率を4.5%と予測

(モンゴル)

北京発

2018年05月17日

モンゴルの2018年の実質GDP成長率を4.5%とする予測を信用格付け会社のフィッチが4月24日、発表した。2017年通年の実績(5.1%)よりは若干減速するものの、2016年の実績(1.2%)と比較すると高い成長率を見込んでいる。この背景には、オフナー・フレルスフ首相の訪中を受け中国向け石炭輸出のボトルネックが改善したことがあるとみられる。

フレルスフ首相は、4月8~12日にかけ中国を公式訪問し、4月10日には、海南省にて習近平国家主席との会談を行った。モンゴル政府によると、フレルスフ首相は一連の訪中日程のうち、4月12日にガンツモド国境がある内モンゴル自治区バヤンノール市〔中国語名:巴彦●(さんずいに卓)爾市〕およびガンツモド(中国語名:甘其毛都)税関幹部と会談し、通関処理の制限解除と石炭輸出増加に向けた協力について協議を行った。

また、中国が提供する無償援助1億4,800万元(約25億1,600万円、1元=約17円)を活用し、モンゴル側のザミンウード税関、ガシューンスハイト税関を改修・拡張する文書に署名したことも発表した。

中国向け歴青炭輸出が大幅増

モンゴル国家統計局によると、2017年におけるモンゴルからの中国向け輸出品目のうち、歴青炭が前年比2.3倍の21億9,554万ドルと大幅に伸びており、モンゴルの輸出額全体(62億ドル)の3分の1以上という大きな割合を占めた。

一方で、モンゴル政府によると、2017年7月以降、中国側国境のガンツモド税関が石炭輸出トラックの通関ゲート数を5車線から2車線に減らしたために、トラックの通過台数が1日当たり1,200~1,500台から500~600台に減少し、モンゴル側国境のガシューンスハイト税関では一時170キロ以上の渋滞が発生した。中国当局は通関ゲートの減少理由について、モンゴルから肉、銃器などの密輸が多い影響で検査を強化するためと説明し、モンゴル政府は中国側国境通関における検査時間の短縮などを求めた。

なお、中国当局は4月16日からガンツモド税関のトラック通関ゲートを2車線から3車線に増やしており、モンゴル政府によると、4月16日には前営業日比20%増の869台、4月19日には1,124台(うち1,012台が石炭)の石炭輸出トラックが国境を通過するなど改善がみられたという。

(藤井一範)

(モンゴル)

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