日EU・EPA/TPP11活用促進セミナーを実施

(日本)

海外調査部

2018年05月25日

ジェトロは5月16日、「日EU・EPA/TPP11活用促進セミナー」を東京で開催した。

当セミナーではまず、海外調査部の長島忠之上席主任調査研究員がTPP11(11カ国による環太平洋パートナーシップ協定)の概要などについて講演した。日本企業のEPA(経済連携協定)の活用が進む中、TPP11では極めて高度な関税撤廃率が実現しており、工業品、農林水産物・食品を含め輸出者にとっての受益が期待される。また、多数締約国間で共通の原産地規則が設けられたことは、円滑な海外展開に向け大きな意義が認められる、とした。物品貿易以外でも、有益な仕組みが多々講じられている。例えば、ベトナムの流通業出店自由化を例示しつつ、サービス・投資分野などで盛り込まれた規定についても触れた。

東京税関の上原わかな原産地調査官は、主に輸入の場合を想定し、原産地規則や手続き規定(原産地証明)を解説した。EPAで提供される関税上の特別待遇(特恵関税)を受けるためには、締約国の原産品と認められる必要がある。そのための基準3類型(完全生産品、原産材料のみから生産される産品、実質的変更基準を満たす産品)が、分かりやすく図示して説明された。

うち実質的変更基準は、さらに「関税分類変更基準」「付加価値基準」「加工工程基準」の3つに細分され、具体的な要件が品目別規則に規定される。基準を満たさない場合でも、例外的に原産品と見なす救済規定(累積、僅少非原産材料)を適用できる場合もある。併せて、TPPを含め日本が締結しているEPAについて、品目別原産地規則を簡便に参照できるウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますも紹介された。

質疑応答では、原産地規則・手続きに関するものが相次いだ。

当セミナーではこのほか、日EU・EPAについてのセッション(2018年5月17日記事参照)も設けられた。そのほか、新規実施予定の「新輸出大国コンソーシアムEU展開プロジェクト」がジェトロの担当部局から紹介された。本セミナーは、経済産業省委託「平成29年度補正グローバル事業展開・イノベーション促進事業」の一環で実施された。

(林道郎)

(日本)

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