カナダ政府、中国交通建設によるエーコンの買収提案を却下
(カナダ、中国)
トロント発
2018年05月30日
カナダ政府は5月23日、国家安全保障上の理由から、建設会社の中国交通建設(CCCC)の子会社によるカナダ大手建設企業エーコン(Aecon)に対する総額15億カナダ・ドル(約1,245億円、Cドル、1Cドル=約83円)の買収提案を却下する声明を発表した。
ナブディープ・シン・ベインズ・イノベーション・科学・経済開発相は声明の中で、「カナダ政府は、雇用の創出と、繁栄をもたらす国際投資には門戸を開いているが、国家安全保障を犠牲にすることはできない」との見解を示した。エーコンのジョン・ベック社長兼CEO(最高経営責任者)は、「今回の政府の決定には失望したが、エーコンは引き続きカナダの建設・インフラ市場で中心的な役割を担い続ける」との声明を発表した。
報復措置の可能性あり、対中関係の冷え込みも
今回の決定により、カナダと中国との関係が冷え込むことも予想されている。元北京駐在外交官でブロック大学准教授のチャールズ・バートン氏は、連邦政府の決定を評価したが、中国政府からカナダ産農産品などの輸入制限措置や中国人観光客の渡航規制などの報復措置の可能性がある旨を指摘した(「グローブ・アンド・メール」紙5月24日)。
また、ブリティッシュ・コロンビア大学アジア研究所のウェンラン・ジャン上級研究員は、トルドー政権が2017年3月に中国企業オーネット・テクノロジーズ・グループによるモントリオールのファイバーレーザー企業のITFテクノロジーズ買収を承認し、同年6月には中国企業ハイテラ・コミュニケーションズによる人工衛星メーカー、ノルサット・インターナショナル買収を、安全保障審査をせずに認めていたことを挙げ、「自由党政権は対中関係において大きくスタンスを変えた」と指摘している(「グローブ・アンド・メール」紙5月25日)。
エーコンは、トロントのCNタワーの建設や、オンタリオ州の原子力発電所建設、ブリティッシュ・コロンビア州のサイトCダムの建設プロジェクトなど、カナダの重要なインフラ整備プロジェクトに参画してきた。しかし、近年は業績が低迷し、2017年8月に身売りの意向を示していた。
CCCCのほか、カナダ国内の投資ファンドの支援を受けたカナダの建設会社も買収提案をしていたが、同年10月、より良い条件を提示したCCCCに譲渡することで合意していた。しかし、連邦政府は、同社が外国資本の傘下に入ることが国益を損ねないか精査が必要と判断し、カナダ投資法に基づく審査が行われていた。
(伊藤敏一)
(カナダ、中国)
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