着実に進むイラク・クルディスタン地域への国際線再開

(イラク)

ドバイ発

2018年05月08日

アラブ首長国連邦(UAE)のドバイを拠点とする格安航空会社(LCC)フライドバイは、イラクのクルディスタン地域にあるスレイマニア国際空港への就航を5月10日に再開すると発表した。当初は週2便、今夏からは週3便の運航を予定している。イラク政府による同地域への国際線禁止措置の撤回後、同空港への国際線就航はカタール航空、ロイヤル・ヨルダン航空に続いて3社目。

イラク政府がクルディスタン地域への国際線再開を2018年3月14日に発表した後、同地域中心都市エルビルへの就航再開も順次進んでいる。3月19日、エルビルへ国際空港への約半年ぶりとなる国際線を早々に再開したのは、サウジアラビアのLCCフライナスとUAEのフライドバイだった。エルビル国際空港への主な就航再開状況は表のとおり。中東・欧州の15都市とのフライトが発着している。エルビルはイラクの他都市と比較して安定した治安を維持しており、駐在事務所を設置する日本企業もある。

表 エルビル国際空港への主な国際線就航再開状況

クルディスタン地域の両空港では従来、クルディスタン地域政府(KRG)が独自のビザを発給していたが、イラクのハイダル・アバディ首相は、税関システムなども併せて今後速やかにイラク国内の制度に統合すると発表している。イラク政府は従来から同地域への渡航にはイラクビザが必要であるとの姿勢を取っており、どの程度統合が進むか注目されるが、詳細は明らかになっていない。2017年9月にKRGが独立に向けての住民投票を実施したことを受け、イラク政府は対抗措置の一環として同地域内を発着する国際線の運航を禁止していた。

(田辺直紀)

(イラク)

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