プルコボ空港と市内を結ぶ鉄道建設へ

(ロシア)

欧州ロシアCIS課、サンクトペテルブルク発

2018年05月31日

サンクトペテルブルク市のゲオルギー・ポルタフチェンコ市長と、空港連絡鉄道を運営するアエロエクスプレスのワレリー・フョードロフ社長は5月24日、同市のプルコボ空港とビチェフスク駅を結ぶ鉄道敷設事業実現に向けた協定を締結した。2022年までの完成を目指す。

総事業費の47%を民間が出資

協定締結は同市で開催されたサンクトペテルブルク国際経済フォーラムで行われた。アエロエクスプレスは現在、モスクワの3空港(シェレメチェボ、ドモジェドボ、ブヌコボ)と市内中心部を結ぶ電車などを運行している。鉄道敷設の総事業費は188億ルーブル(約338億円、1ルーブル=約1.8円)。官民連携(PPP)方式を予定し、47%に相当する88億ルーブルを民間の出資で補う。

市投資委員会によると、基礎計画は策定済みで、プルコボ空港とビチェフスク駅間22キロ(サンクトペテルブルク市区間14キロ、レニングラード州区間8キロ)を26分で結ぶ。途中、地下鉄やバス、市環状自動車道路との連結が良いクプチノ駅で一度停車する。料金は片道250~350ルーブルを予定。2018年12月末までに建設業者を選定し、線路敷設に2年(新規敷設区間は5キロ)、ターミナル駅建設に2年を要する見込み。

プルコボ空港の利用旅客数は年々増加傾向にあり、2017年は過去最高となる1,613万人(前年比21.6%増)だった。一方、本事業の投資回収には2020年時点で2,240万人の利用者が必要との試算もあり、厳しい市財政を考慮し建設に反対する声もある(インターネットメディア「レグナム」5月24日)。一方、在サンクトペテルブルクの日系企業関係者は、「今までは市内での渋滞もあり、空港までの時間が読めなかった。時間が読めることが何より重要」と語った。

現在、在サンクトペテルブルク日系企業関係者がプルコボ空港を利用する場合、公共交通機関は路線バスしかなく、通常はタクシーや社用車を利用している。

(高橋淳、一瀬友太)

(ロシア)

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