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木材の国内加工度引き上げを狙い輸出割当制度を変更

(ロシア、中国)

欧州ロシアCIS課、大連、モスクワ発

2018年04月04日

ロシア政府は極東地域での木材加工度を引き上げるため、2018年から2021年にかけて原木の輸出割当発給の条件を厳しくする。2019年1月からは割当外での木材輸出に高関税を賦課する見込みだ。

割当外輸出関税を段階的に引き上げ

政府は、2017年12月12日付政府決定第1520号「ロシア連邦から第3国へ輸出される特定種類の木材の関税割当について」により、木材輸出に関する割当制度を修正した。モミ、エゾマツ、カラマツ類など関税コード440323~26に分類される木材が対象。国内で高度加工度が可能な企業・個人事業主に輸出割当を与える一方で、割当外の木材輸出に対しては高い輸出関税を付加し、事実上の禁輸措置とする。

割当受給資格を得るための要件は、申請企業(個人事業主を含む)が申請対象期間から過去3年の間にモミ、エゾマツ、カラマツのほか関税コード4401~4419の一部の製品を輸出した実績があること。申請に当たっては、申請書や販売(輸出)契約書、税金・関税の支払い証明書類のほか、工場の生産能力に関する書類の提出が求められる。割当発給や細則に関する決定は工業商務省が行う。また申請企業(個人事業主)は、割当申請前1カ月内に破産手続きが開始されていないこと、税・社会保険の滞納・追徴などが発生していないことが必要となる。

政府は2018年以降、これらの企業による高度加工を施した木材製品の輸出拡大を目指す。同政府決定ではこれら企業・事業主による輸出割合(金額ベース)を、a.2018年1月1日からは20%を下回らない、b.2019年1月1日からは25%を下回らない、c.2020年1月1日からは30%を下回らない、d.2021年1月1日からは35%を下回らない、こととしている。なお、輸出割当内での輸出関税は従来の25%から引き下げられ、6.5%となっている。

一方、割当外での輸出関税は、a.2019年1月1日から12月31日までは40%(ただし1立方メートル当たり27.6ユーロを下回らない)、b.2020年1月1日から12月31日までは60%(ただし1立方メートルあたり36.8ユーロを下回らない)、c.2021年1月1日からは80%(ただし1立方メートルあたり55.2ユーロを下回らない)となる。

割当制度の導入の背景について、ロシア科学アカデミー極東支部のナタリア・アントノワ主任研究員(資源分野)は、同措置は加工度を上げ付加価値を創出することで地域の産業育成を促す狙いがあるほか、最大の輸出先・中国市場でロシア極東産の木材がロシア北西、シベリア産木材と比較し価格競争力を取り戻すことを目的とした大規模木材輸出企業と連邦政府との合意の結果、と指摘している(注)。

一方、2019年1月から割当外の輸出関税引き上げられることから、中小規模の木材輸出企業・個人事業主は、今回の政府が要求する加工基準を満たせず、(輸出から)国内向けに販売先を切り替えるか、市場から退出するしかないと指摘している。

中国側では短期的な影響は想定されず

最大輸出先の中国市場での影響について、中国側関係者は短期的な影響はないとみている。黒竜江省社会科学院幹部はジェトロのインタビュー(2月13日)に対し、今回の政策について、「木材は黒龍江省の対ロ主要輸入品目で、今後、地域間貿易の回復で木材輸入需要が高まれば、同措置に伴う影響は現れるかもしれない。しかし、短期的な影響は限られる。近年黒龍江省政府は対外進出を提唱しており、ロシア極東で加工工場を設立する企業が増えた。ロシアから原木のみを輸入していた時代に比べれば、影響は小さい」と話す。

ロシア沿海地方と国境を接し、中国側のロシア産木材加工拠点である黒龍江省の綏芬河市経済関連幹部は、「同措置は(ロシアの)自国内での加工促進が目的。中国が第一の輸出先である現状を変える意図はない。ロシアから木材を輸入する中国の大手企業の多くはロシア国内に加工工場を設立済み。割当枠の取得に問題はなく、大手企業への影響は大きくない。影響を受けるのは非正規ルートで木材を調達している小規模の企業。また、板材の輸入は制限を受けておらず、割当の対象外となっている木材もある。価格上昇の影響を抑える関連対応策を(中国側で)導入する可能性もある。同措置がロシアで徹底的に実施されれば、2018年6月ごろに中国内で原木の価格が上昇する可能性があるが、(ロシア)欧州部産の原木輸入により多少は緩和されるだろう。中ロ間の木材貿易に最も大きな影響を与えているのは(割当ではなく)為替」としている。

(注)2012年に主としてロシア極東に自生する木材を対象とした割当制度が導入された結果、ロシア極東産の木材はロシア北西・シベリア産木材に置き換わったとアントノワ氏は指摘している。

(高橋淳、匂坂拓孝、タギール・フジヤトフ)

(ロシア、中国)

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