産業界は政府に早期解決を要求-中国政府の対抗措置への反応-

(米国、中国)

ニューヨーク発

2018年04月09日

米国による関税賦課への対抗措置として中国政府が米国からの輸入に対する関税賦課(注)を続けて発表したことを受け、米国の産業界には早期解決を米国政府に求める声が広がっている。

全米豚肉生産者協議会(NPPC)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは2017年の中国への豚肉輸出は10億ドル以上に上り、同国が米国の豚肉輸出額で3番目の市場であるとして、政府間交渉により中国の関税賦課が短期的なものになることを期待すると述べている(4月2日)。米国大豆協会(ASA)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますも、大豆輸出の61%が中国向けで、これは米国内の大豆生産の3割以上に当たるとし、建設的な姿勢で中国と話し合うことを米国政府に求めた(4月4日)。また、全米トウモロコシ生産者協会(NCA)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますも、中国の関税が課される前に合意に至る機会がまだ残されているとして、政府間交渉による解決に期待を寄せている(4月4日)。

米国化学協議会(ACC)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは、今回の関税賦課品目の4割が化学品であるとし、1,850億ドルに上る米国内での化学工場の新設・拡張計画が現行の関税率に依拠しており、これら投資計画に影響が及ぶ可能性があると警告している(4月4日)。

中国政府と建設的な対話を求める声も

ゼネラルモーターズ(GM)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますとフォードも、建設的な対話を行うよう米国政府に求めた(4月4日)。なお、「ウォールストリート・ジャーナル」紙(4月4日)は、以下の理由から、中国の関税賦課はBMWやメルセデス・ベンツ、また新興企業のテスラにより大きな影響を及ぼすと指摘している。中国は現行でも25%の自動車関税を課しているため、多くの外資系メーカーは中国国内で現地生産を行っている。しかし、BMWやメルセデス・ベンツなどは高級車を米国拠点から中国市場に輸出している。また、テスラは技術流出に対する懸念から中国企業との合弁による現地生産を行っておらず、米国で生産した車を中国に輸出している。

(注)米国政府による1962年通商拡大法232条に基づく鉄鋼・アルミニウムへの関税賦課と1974年通商法301条に基づく関税賦課それぞれについて、中国政府は対抗措置を発表している。232条に対する対抗措置は2018年4月2日記事を、301条に対するものは2018年4月5日記事を参照。

(鈴木敦)

(米国、中国)

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