通信・情報社会相が日本式地デジ移行計画に関心
(エクアドル)
米州課
2018年04月06日
エクアドルは2010年に日本式デジタル放送システム(ISDB-T方式)の採用を決定しており、その移行準備を進めている。同国における導入計画は、通信・情報社会省(MINTEL)、電気通信規制庁(ARCOTEL)、高等教育科学技術革新庁(SENESCYT)の3機関で組織する地デジ導入技術委員会(CITDT)を中心に進められており、その傘下にある4つの分科会(技術規格、財政、革新・研究開発、コンテンツ)でテーマ別の課題に取り組んでいる。
同委員会の下では、2012年にマスタープランが作成され、同年国家電気通信審議会〔CONATEL(現ARCOTEL)〕決議によってアナログ停波は、2016年12月から2018年末にかけて実施される予定だったが、その後の世界的な油価の下落により公共投資計画が一時凍結されたことで大幅に遅れていた。
来日セミナーで関連インフラの優位性を強調
3月26日に総務省との共催で行われた「日本エクアドル地デジ・ICTセミナー」(日本とエクアドルの外交関係樹立100周年記念事業)で、来日したギジェルモ・レオン通信・情報社会相はあらためて、アナログ停波計画を4つのフェーズに分けて、段階的に2023年末にかけて実施すると発表した。
一方で、同相はエクアドルの関連インフラの優位性を強調。3本の海底光ケーブルや年間7万2,000キロの生産量を誇る光ファイバー工場(エクアドルTELCONETと中国国営FIBER HOMEの合弁事業)も有しているとする。加えて、国内のモバイルインターネット契約数は2010年から2018年にかけて28倍、固定インターネット契約数も3.4倍と増加しており、携帯電話契約数1,400万人の約半数は既に4Gを使用し、かつ災害対策に関わる全ての関係省庁を束ねる統括システム「ECU911」も導入済みとしている。また、緊急警報放送(EWBS)について、日本の知見にあやかりたい意向も示している。
エクアドル政府は、今後、情報通信技術(ICT)を社会のさまざまな分野で活用することを考えており、特に観光ビジネス、国内中小零細企業への導入、医療(遠隔医療サービス)、教育サービス、農業、災害対策や電子政府プラットフォームの開発強化への参入を呼び掛けた。
(設楽隆裕)
(エクアドル)
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