1,000分の1のデノミに関する法案を議会に提出

(コロンビア)

ボゴタ発

2018年04月18日

マウリシオ・カルデナス大蔵・公債相は4月11日、デノミネーション(通貨切り下げ)に関する法案を議会に提出した。法案によると新通貨の名称は現行通貨との差別化を図るため移行期間中のみ「ヌエボ・ペソ」と称し、通貨単位を1,000分の1に切り下げる(表参照)。

表 新通貨一覧

2020年1月1日に導入を予定しており、移行期間として、紙幣については2023年までの3年間、硬貨については2024年までの4年間は現在の通貨も使用できる計画だ。この期間が終了すると現在の通貨は使用不可となり、以降発行される新通貨には「ヌエボ」の表記はなくなる。

通貨切り下げによって、会計処理の簡素化や、システムなどへの入力時間の短縮、数字の読み違いの軽減などの効果が期待される。また、今回の法案の起案者であるネストル・ウンベルト・マルティネス司法長官は、麻薬やテロに関連する資金の洗い出しも狙う。

一方で、金融関係者からは、システムの変更に必要な時間と費用を不安視する声もある。2016年、中央銀行はデザインを変えただけの新紙幣を発行しており、現在、旧紙幣と新紙幣の2種類が流通している。これに今回の「ヌエボ・ペソ」が加わると、移行期間中3種類の紙幣が流通することになり、ATMはいずれの紙幣にも対応できるようソフトウエアを更新する必要が出てくる。

過去には、法案が数回不成立に

通貨切り下げ実施の取り組みは過去にも議論されている。2001年、2010年、2016年には議会に法案が提出され、いずれも通貨単位を1,000分の1に切り下げる方向で議論が進められたが、コストの問題や、適した時期ではないなどの理由から法案成立には至らなかった。

2018年3月のインフレ率は3.14%と、中央銀行が目標とする2~4%の数値に推移している。カルデナス大蔵・公債相は、インフレ率は落ち着いており、組合や検察、中央銀行、多くの議員から今回の取り組みに対する支持を得ていることを挙げ、法案成立に自信を示している(「ラ・レプブリカ」紙4月12日)。中央銀行は、通貨切り下げにかかる費用はGDPの0.04%に当たる約1億4,787万ドルと見積もっている。

(茗荷谷奏)

(コロンビア)

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