上海市の法定最低賃金、4月から5.2%引き上げ

(中国)

上海発

2018年04月05日

上海市人力資源・社会保障局は、同市の法定最低賃金を4月1日から引き上げた。全日制就業労働者(正社員)の月給はこれまでの2,300元から120元引き上がり2,420元(約4万1,140円、1元=約17円)となった。非全日制就業労働者(パート)の最低時給基準も20元から21元に引き上げられた。

上海市は1993年に法定最低賃金制度を導入して以降ほぼ毎年、最低賃金の引き上げを実施している。正社員の月給は導入当時の210元から、25年間で約11.5倍となった。ただし、今回の上昇率は5.2%で、2017年(5.0%)並みの水準にとどまり、2015年の11.0%、2016年の8.4%に比べて鈍化した。

増える企業の実質負担額

なお、上海市の法定最低賃金には、残業手当や交代制の深夜作業・危険作業などの特別手当、社会保険(養老保険、医療保険、失業保険など)、住宅積立金の個人負担分などは含まれていないため、企業はこれらを別途支払う必要がある。法定最低賃金制度は全国31省・自治区・直轄市全てで実施されている(表参照)が、上海市と北京市を除く多くの地域の最低賃金には社会保険と住宅積立金の個人負担分が含まれている。上海市および北京市の企業の実質負担額は公表額より高くなる。

2017年度の上海市の企業の実質負担額は、法定月額基準の2,420元に現行の社会保険の最低納付額410元、住宅積立金の最低納付額306元を加え、計3,136元を超えた。公表されている法定最低賃金が2番目に高い深セン市より1,000元以上高かった。また、上海市では社会保険と住宅積立金の納付額を毎年4月、7月にそれぞれ調整する。2018年度の上海市の企業の実質負担額は今後さらに増える見込みだ。

表 各地の法定最低賃金基準(正社員、月額)

(劉元森)

(中国)

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