政府が認証マーク表示の徹底を企業に要求

(アラブ首長国連邦)

ドバイ発

2018年04月05日

連邦基準化計測庁(ESMA)は4月2日、企業向けセミナーを開催し、適合性評価スキーム(ECAS)マークと電力効率標準化ラベル(EESL-RFID)マークの対象商品への表示を徹底するよう求めた。これらの制度は、アラブ首長国連邦(UAE)の長期戦略UAEビジョン2021やUAEグリーン成長戦略において、人にやさしく、持続可能な国づくりを目指す一環で導入されたものだ。

EESLマークは、表1の製品に対し導入済みまたは今後、導入予定とのこと。対象製品には新規に輸入されるものは2017年8月1日まで、既にUAE国内にある製品は2018年2月1日までにマークの表示を求めていた。

表1 EESLマークの表示が義務付けられた製品
導入済み 今後の導入予定
室内用エアコン (ダクトなし)
貯湯式電気温水器
冷蔵庫
ウオーター・ポンプ(2018年5月10日発効)
食器洗浄機、洗濯機・乾燥機(パブリック・コメント受付中)

(出所)連邦基準化計測庁(ESMA)

ECASマークは玩具、食品用資材、照明などさまざまな商品への取得をESMAが求めているが、今回のセミナーでは低電圧製品および化粧品・化学品・洗剤について、ECASマークの表示を義務化するスケジュールが発表された(表2参照)。

表2 ECASマークの表示を義務付ける期限
製品カテゴリー 新たにUAE国内に持ち込まれる製品 既にUAE国内にある製品
低電圧製品(LVE、注) 2018年6月1日 2019年1月1日
化粧品・化学品・洗剤など 2018年9月1日 2019年1月1日

(注)交流の場合は50~1,000ボルト(V)、直流の場合は75~1,500Vの電圧で使用する電気機器(温水器、延長ケーブル・アダプター、アイロン、電子レンジ、洗濯機・乾燥機、電気ストーブ、エアコン、冷蔵庫、住宅用キッチン、ファンなど)
(出所)連邦基準化計測庁(ESMA)

2019年以降はリコールの可能性も

2019年1月1日以降、ESMAの市場調査によりマーク表示のない商品が見つかった場合は、リコールの対象になる可能性がある。化粧品・化学品・洗剤の輸入・販売については、別途、各首長国の市政庁による商品登録制度があるが、ESMA担当者は、首長国への商品登録の有無にかかわらず、GCC標準化機関(GSO)が発行するGマーク(Gulf Conformity Mark)表示製品以外には全て、ECASマークの表示を義務付けると説明した。なお、Gマークを表示している場合、ECASマークの表示義務はないが、ECASの認証自体は必要だという。

しかし、ジェトロがドバイ税関に照会したところ、ドバイ税関は通関時に上記商品へのECASマークに関する書類の提出を求める予定はないとの回答を得た。一方で、化粧品などについては首長国市政庁の発行する製品登録証の提出を求めている(2018年4月2日時点)。連邦政府機関であるESMAと各首長国政府機関である税関や市政庁との連携が今後どのように進むかは不透明だ。

なお、ECASマークおよびEESLマークの取得については、ESMAの公認機関が窓口となる。ESMAウェブサイトには公認機関として、6機関(Gulftic Certification、SGS、UL、Intertek、Tuv Rheinland、RACS)が掲載されている(2018年4月2日時点)。所要期間、認定料などは機関により異なるため各機関への確認が必要だ。認証取得後、対象製品または小売り用包装の前面にECASマーク、EESLマークを消費者に見えやすく表示することが求められている。

(山本和美)

(アラブ首長国連邦)

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