新首相にアビィ元科学技術相が就任

(エチオピア)

アディスアベバ発

2018年04月05日

アビィ・アフメド氏が4月2日に国民議会の手続きを経て、新首相に就任した。現在の与党下では3人目の首相となる。なお、他の閣僚に変更はない。2月以降、後継選出にかかる不測の事態を避けるため、国家非常事態宣言が出されているが、地方を含めデモなどの動きは伝えられておらず、アディスアベバ市内も平穏だ。

初のオロミア州出身の首相

欧米や近隣諸国、アフリカ連合(AU)などは、平和裏に権力移譲したことを歓迎している。ハイレマリアム前首相は2月に辞意を表明しており、与党エチオピア人民革命民主戦線(EPRDF)は後継選びに入っていた。EPRDFは既に理事会と評議会を開催し、連合与党内の地域・民族を代表する各政党の現職国会議員の中から候補者を絞り込む作業を進め、3月27日にはアビィ氏が与党総裁に選ばれていた。アビィ新首相は民族では最多のオロモ人(人口の30%強とされる)で、同民族からは初の首相となった。アビィ新首相は就任に当たり、野党も活動しやすい環境整備、隣国エリトリアとの関係改善などに意欲を示している。

政治経済改革は継続の見込み

国内では、経済発展とともに格差の広がりを感じる地方住民や若年層が政府への反発を強めており、これまで多くの人口を抱えるオロミア州やアムハラ州などで、反政府デモがたびたび発生していた。ハイレマリアム前首相の下では、野党からの一層の民主化要求を受け、政治犯の釈放を進めるとともに、次回選挙(2020年予定)では比例代表制を採用することも与野党で合意するなど、政治改革が進められていた。新首相の下でもこうした改革路線は引き継がれるとみられる。野党からは「個人の資質ではなく与党の体質が改革を難しくしている」との批判もある。また市民からもいっそうの改革進展への期待の声も上がっている。

新首相は軍歴が長く、2010年に国会議員となった。2016年に短期間、科学技術相を務めた経験があり、直近ではオロミア州副大統領を務めていた。経済政策手腕は未知数だが、慢性的な外貨不足に悩む国情は変わらない。引き続きインフラ整備を進めながら、積極的に外国企業誘致を図り、軽工業を中心とした製造業拠点を目指す点も変わらないとみられる。

(関隆夫)

(エチオピア)

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